再発又は難治性の多発性骨髄腫治療薬 「テクベイリ®皮下注30mg」、 「同153mg」発売のお知らせ
テクベイリ®は、治療選択肢が限られた、再発又は難治性の多発性骨髄腫におけるアンメットニーズに応える 投与前の希釈が不要な皮下注製剤
Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ株式会社、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:關口修平、以下「J&J」)は19日、再発又は難治性の多発性骨髄腫治療薬として、B細胞成熟抗原(BCMA)及びCD3を標的とする二重特異性抗体「テクベイリ®皮下注30mg」、「同153mg」[一般名:テクリスタマブ(遺伝子組換え)、以下「テクベイリ®」]を発売したことをお知らせします。
テクベイリ®は、2024年12月27日に「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能又は効果として、製造販売承認を取得し、2025年3月19日に薬価収載されました。
テクベイリ®は、投与前の希釈が不要な皮下注製剤です。そして再発又は難治性の多発性骨髄腫において日本で初めてかつ唯一*の体重に応じた投与が可能なBCMA及びCD3を標的とするT細胞リダイレクト二重特異性抗体 です。科学的手法により作製されたテクベイリ®は、T細胞表面に発現するCD3受容体及び骨髄腫細胞表面に発現するBCMAの両方に結合し、免疫系を活性化させます1。
テクベイリ®の発売は、業界においてリーディングポジションにある弊社のがん領域におけるポートフォリオを更に多様化させ、この希少な血液がんに対する治療法を研究開発するというコミットメントを強固なものにします。
多発性骨髄腫は、再発を繰り返し、その度に別の治療を行わなければならなくなる患者さんも多く1,2、依然としてアンメットニーズの高い疾患です。そして、再発して症状の再燃を繰り返す度に、症状は悪化し、治療が奏効する可能性は低くなり、奏効持続期間も短くなる傾向にあります3 。
テクベイリ®は、海外第I/II相MajesTEC-1試験4及び国内第I/II相MMY1002試験5,6において、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む少なくとも3つの標準的な治療歴を有する、成人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象に、その有効性及び安全性を評価し、それらの結果に基づき承認を取得しています。いずれの試験においても、テクベイリ®は深く持続的な奏効及び良好な安全性プロファイルを示しています4,7。
J&J Innovative Medicine Japanの代表取締役社長である關口修平は、次のように述べています。「テクベイリの発売は、再発を経験する多発性骨髄腫の患者さんに、新たな治療選択肢を提供するという私たちのコミットメントにおける大きな進歩です。そして、再発の度に新たな治療選択肢を必要とする患者さんにとって、テクベイリが新たな希望をもたらすことができればと期待しています。更に今回のテクベイリの発売は、がんを撲滅するという目標に向け、サイエンスを基に革新的な医薬品を開発し提供するという私たちのコミットメントを示すものです」
製品概要
製品名 |
テクベイリ®皮下注30mg テクベイリ®皮下注153mg |
一般名 |
テクリスタマブ(遺伝子組換え) |
効能又は効果 |
再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る) |
用法及び用量 |
通常、成人にはテクリスタマブ(遺伝子組換え)として、漸増期は、1日目に0.06mg/kg、その後は2~4日の間隔で0.3mg/kg、1.5mg/kgの順に皮下投与する。その後の継続投与期は、1.5mg/kgを1週間間隔で皮下投与する。なお、継続投与期において、部分奏効以上の奏効が24週間以上持続している場合には、投与間隔を2週間間隔とすることができる。 |
包装 |
テクベイリ®皮下注30mg 3mL[1バイアル] |
薬価 |
テクベイリ®皮下注30mg: |
製造販売承認日 |
2024年12月27日 |
薬価基準収載日 |
2025年3月19日 |
発売日 |
2025年3月19日 |
製造販売元 |
ヤンセンファーマ株式会社 |
MajesTEC-1試験について
MajesTEC-1試験(第I相: NCT03145181、第II相NCT04557098)は、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む少なくとも3つの標準的な治療歴を有する、成人外国人の再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者さんを対象に、テクベイリ®の安全性と有効性を評価する第I/II相、用量漸増、単群、非盲検、多施設共同、用量拡大試験です8,9。第I相試験(NCT03145181)は、用量漸増(パート1)と用量拡大(パート2)から構成されています8。本試験では、テクベイリ®の安全性、忍容性、薬物動態及び予備的有効性を評価しました8。また第II相試験(NCT04557098)では、週1.5mg/kg皮下投与で設定された、第II相試験における推奨用量(RP2D)でのテクベイリ®の有効性について、全奏効率(overall response rate:ORR)を主要評価項目として、また安全性についても評価しました9。
MajesTEC-1試験では、追跡期間中央値30.4カ月において、テクベイリ®をRP2Dで投与した患者さん(n=165)のORRが63%で、46%が完全奏効(Complete Response :CR)以上を達成したことが示され、奏効は時間の経過とともに深くなることが示されました10。また奏効期間(duration of response:DOR)中央値、無増悪生存期間(progression free survival:PFS)中央値、全生存期間(overall survival:OS)中央値はそれぞれ、24.0カ月、11.4カ月、22.2カ月でした10。 有害事象には、好中球減少症(全グレード、72%;グレード3又は4、66%)、貧血(全グレード、55%;グレード3又は4、38%)、血小板減少症(全グレード、42%;グレード3又は4、23%)、リンパ球減少症(全グレード、36%;グレード3又は4、35%)、感染症(全グレード、79%;グレード3又は4、55%)などがありました10。グレード5の感染症22件のうち、18件はCOVID-19によるものでした10。第I/II相MajesTEC-1試験はCOVID-19の感染拡大開始とともに始まり、RP2Dコホート165人のうちの大半(n=151、91.5%)は、2020年3月から2021年3月の間に組み入れられました。この期間は、世界的にCOVID-19の感染率と死亡率がピークに達していた時期と重なります11。なお重篤な感染症の新規発症は時間の経過とともに減少し、これは2週間隔投与への切り替え時期と一致していました(データカットオフ日:2023年8月22日)。
第I/II相MMY1002試験について
MMY1002試験は、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む少なくとも3つの標準的な治療歴を有する、成人日本人の再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者さんを対象に、テクベイリ®の有効性と安全性を評価する第I/II相、用量漸増、単群、非盲検、多施設共同試験です5,6。第I相試験では、MajesTEC-1試験で特定されたRP2Dの日本人患者さんにおける安全性及び忍容性を評価しました。また第II相試験ではRP2Dの有効性を評価しました5,6。 第II相MMY1002試験では、追跡期間中央値14.3カ月におけるORRは76.9%であり、CR以上が65.4%でした。DOR、PFS、OSの中央値は未到達であり、12カ月時点のDOR率、PFS率、OS率はそれぞれ89.7%、75.2%、76.2%でした。また、微小残存病変(minimal residual disease :MRD)10-5の評価が可能であった患者さんのMRD陰性率は83.3%でした。なお安全性に関する所見は、MajesTEC-1の結果と一貫しており、安全性に関する新たなシグナルは認められませんでした(データカットオフ日:2024年4月22日)。
多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は、白血球の一種である形質細胞が骨髄内でがん化し、骨髄腫細胞となり異常に増殖することで生じる、治癒困難な血液がんです12,13 。日本国内における2020年の多発性骨髄腫の新規診断者数は約7,300人14で、2023年の死亡者数は約4,300人14でした。多発性骨髄腫は初期には無症状の場合もありますが、骨折や骨痛、赤血球数の減少、疲労、カルシウム値の上昇や腎障害などの症状が現れる患者さんもいます15。
テクベイリ®について
テクベイリ®は、投与前の希釈が不要な皮下注製剤で、BCMA及びCD3を標的とするT細胞リダイレクト二重特異性抗体で、免疫機能を活性化し、がん細胞を死滅させます1。テクベイリ®は、成人の再発又は難治性の多発性骨髄腫の単剤療法として、2022年8月に欧州委員会から承認を取得16しています。また2022年10月には、成人の再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得17しています。 更に2024年2月、FDAは最低6カ月間にわたってCR以上を達成・維持した患者さんに対し、テクベイリ®の投与頻度を1.5 mg/kgの隔週投与に減らす生物学的製剤承認事項一部変更申請を行い、承認を取得しました。 これまでの2年間、全世界で13,000人以上の再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者さんがテクベイリ®による治療を受けています。
*2025年3月現在、日本国内において。
Johnson & Johnson について
Johnson & Johnson (ジョンソン・エンド・ジョンソン、J&J)は、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます。
日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について
Johnson & Johnson Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域―がん、免疫疾患、精神・神経疾患、心・肺疾患、および眼疾患領域における学術および情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。新しいJohnson & Johnson Innovative Medicineブランドとともに、私たちは、今後も医療の未来を切り拓き、日本の患者さんに革新的な医薬品をお届けしていきます。
将来に関する記述
このプレスリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、製品開発及びテクベイリ®の潜在的なベネフィット及び治療影響に関するものです。お読みの際には、これらの将来の見通しのみに依拠しないよう、ご注意ください。これらの記述は、将来の事象に関する現時点での予測に基づいています。 基礎となる前提が不正確であると判明した場合、あるいは既知もしくは未知のリスクや不確実性が現実化した場合、実際の成果は、Janssen Research & Development, LLC、Janssen Biotech, Inc.、ヤンセンファーマ株式会社及び/又はジョンソン・エンド・ジョンソンの予測や見通しと大きく異なる可能性があります。 リスクと不確実性には、これらに限定されるものではありません。臨床的成功及び規制当局の承認取得の不確実性をはじめとする製品の研究開発に伴う課題や不確実性、商業的成功の不確実性、製造上の問題または遅延、競合他社による特許取得、新製品開発、特許に対する異議申し立て、製品回収又は規制当局による措置につながる可能性、製品の有効性又は安全性に関する懸念、ヘルスケア製品及びサービスの購入者の行動や支出パターンの変化、世界的な医療改革などの適用される法律や規制の変更、医療費抑制への動きなどが含まれますが、これらに限定されるものではありません。 これらのリスクや不確実性、その他要因の詳細と一覧については、最新のForm10-Kに基づくジョンソン・エンド・ジョンソンの年次報告書の「将来予測に関する記述に関する注意事項(Cautionary Note Regarding Forward-Looking Statements)」、「リスク要因(Item 1A)」のセクション、またはジョンソン・エンド・ジョンソンの四半期報告書(From 10-Q)及び証券取引委員会へのその他の提出書類をご参照ください。 これら書類は、オンライン(www.sec.gov, www.jnj.com)でご覧いただくか、もしくはジョンソン・エンド・ジョンソン宛てにご請求ください。Janssen Research and Development, LLC、Janssen Biotech, Inc.、ヤンセンファーマ株式会社及びジョンソン・エンド・ジョンソンは、新たな情報や今後の事象・変化などに基づいて、将来予測に関する記述を更新する義務を負いません。
【本件に関するお問合せ先】
Johnson & Johnson Innovative Medicine
コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部
E-mail: [email protected]