米ジョンソン・エンド・ジョンソン(以下J&J)の医療用医薬品日本法人、ヤンセンファーマ株式会社(東京都千代田区、社長:関口 康)は、4月22日付で抗悪性腫瘍剤「ドキシル®注20mg」(一般名:ドキソルビシン塩酸塩リポソーム注射剤)の追加効能となる「がん化学療法後に増悪した卵巣がん」の承認を取得しました。
卵巣がんは自覚症状が乏しいことなどから、早期発見が困難であり、予後不良の腫瘍の一つであるといわれています。また、その罹患患者数は年々増加傾向にあり、同様に死亡者数も増加しています注1)。
加えて、罹患患者の年齢が他のがん腫と比較して低く、ピーク罹患年齢は50~54歳といわれているため、再発の可能性が比較的高く再発した際に使用できる薬剤も少ないことから、海外における再発卵巣がんの標準治療薬である本剤の承認が待ち望まれていました。当社では、このたびの承認取得が再発卵巣がんの治療の選択肢を広げるものと期待しています。
現在、「ドキシル®注20mg」」は米国を含む約80ヵ国以上で発売され、再発卵巣がんに対する適応は1999年に米国にて初めて承認を取得して以降約75ヵ国で承認されています。尚、本剤は本邦において2007年1月に「エイズ関連カポジ肉腫」に対する適応を取得し、発売中です。
<製剤の特徴>
「ドキシル®注20mg」は、MPEG-DSPE注2)で修飾された脂質二重層にドキソルビシン塩酸塩を封入したSTEALTH(ステルス)®リポソーム注3)製剤です。ドキソルビシンの腫瘍組織内滞留時間を延長させ、腫瘍組織内濃度を高めることで有効性を改善し注4)、さらに血漿中の遊離ドキソルビシン濃度を抑えることによって、骨髄抑制や脱毛、心毒性等の主要な副作用を軽減するよう設計されています。
製品概要: (追加部分を下線にて表示)
【承認取得日】
2009年4月22日 (がん化学療法後に増悪した卵巣癌に対する承認取得日)
2007年1月4日 (エイズ関連カポジ肉腫に対する承認取得日)
【薬価】 96,543円
【販売名】 ドキシル®注20mg
【一般名】 ドキソルビシン塩酸塩
【薬効分類】 抗悪性腫瘍剤
【効能・効果】
1) がん化学療法後に増悪した卵巣癌
2) エイズ関連カポジ肉腫
【効能/効果に関する使用上の注意】
<卵巣癌>
本剤の投与を行う場合には、白金製剤を含む化学療法施行後の症例を対象とし、白金製剤に対する感受性を考慮して本剤以外の他の治療法を慎重に検討した上で、本剤の投与を開始すること。
【成分・含量】 1バイアル10mL中ドキソルビシン塩酸塩20mg含有
【色・性状】 赤色の懸濁液
【追加用法・用量】
1) <卵巣癌>
通常、成人にはドキソルビシン塩酸塩として1日1回50mg/m2を1mg/分の速度で静脈内投与し、その後4週間休薬する。
これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
2) <エイズ関連カポジ肉腫>
ドキソルビシン塩酸塩として20mg/m2を1mg/分の速度で静脈内投与する。これを1コースとして2~3週ごとに投与する。なお、年齢、症状により適宜減量する
【承認条件】
<卵巣癌>
国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
<エイズ関連カポジ肉腫>
国内での治験症例がないことから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、HIV感染症治療薬に関する共同調査等の方法を用いて、可能な限り全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。