※本プレスリリースは、5月31日に米国本社にて発表したプレスリリースの抄訳版です。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容及び解釈については英語が優先します。本資料(英文)については、こちらをご参照ください。
なお、アミバンタマブは日本国内において、未承認です。
アミバンタマブ(遺伝子組換え)に関する第III相PALOMA-3試験の解析結果を公表
新たな皮下投与が既存の静脈内投与に対する非劣性を示し、PALOMA-3はRYBREVANT®に関する臨床プログラム中4つ目のポジティブな第III相試験に
アミバンタマブの皮下投与で、全生存期間、無増悪生存期間、奏効期間の延長が示されたとの結果がBest of ASCO 2024に選出
PALOMA-3試験に基づき、欧州医薬品庁にRYBREVANT®皮下投与の製造販売承認を申請
シカゴ(米国時間2024年5月31日) – ジョンソン・エンド・ジョンソンは5月31日、第III相PALOMA-3試験による最初のデータを発表しました。本試験は、上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン19欠失変異(ex19del)又はL858R変異を有する局所進行性又は転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんを対象に、アミバンタマブ(遺伝子組換え)の皮下投与とラゼルチニブの併用療法を評価する試験です。試験結果では、アミバンタマブ皮下投与とラゼルチニブの併用療法は、現在承認を得ているRYBREVANT®の静脈内投与の製剤と比較して、有効性及び薬物動態における非劣性を示しました。アミバンタマブ皮下投与の時間は、静脈内投与の5時間(2日間に渡って)から約5分に短縮され、皮下投与群におけるインフュージョンリアクション(IRR)の発現率は13%で、静脈内投与群は66%でした。このような最新の結果は、RYBREVANT®の臨床プログラムにおける当社の4つ目のポジティブな第III相試験の結果発表であり、2024年度米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会(Abstract #LBA8505)で口頭発表されました。本データはBest of ASCO 2024にも選ばれ、ジョンソン・エンド・ジョンソンの腫瘍分野における最先端科学と先導的な研究の成果に注目を集めました。
カナダ・トロントのプリンセス・マーガレットがんセンターの腫瘍内科医であり、ASCO2024でPALOMA-3試験の結果を発表したDr. Natasha B. Leighl*は次のように述べています。「PALOMA-3試験のデータは、アミバンタマブの皮下投与が、現行の静脈内投与と同等の薬物動態及び有効性でありながら、投与時間を短縮しました。このほか、皮下投与群におけるIRRの発現率は13%で、静脈内投与群は66%でした。VTEの発現率は静脈内投与群が14%、皮下投与群は9%でした。これらの所見が、EGFR変異を有するNSCLC患者さんの治療体験を改善し得ることで、臨床現場においてどのような有意義な変化をもたらすことができるかに期待しています」
PALOMA-3試験の結果によれば、アミバンタマブの皮下投与は、静脈内投与に対して非劣性であり、2つの主要薬物動態的(PK)効果評価項目は、血中濃度(1日目から15日目までのトラフ濃度[Ctrough]及び血漿中濃度–時間曲線下面積)で評価され、基準を満たしました1。
7ヵ月の追跡期間(中央値)において、全奏効率は、皮下投与群では30%(95%信頼区間[CI]、24~37)、静脈内投与群では33%(95% CI 26~39)であり(相対リスク0.92、95% CI 0.70~1.23、P=0.001)、非劣性基準を満たしました。皮下投与群は今回、静脈内投与群と比較して、奏効期間(DoR)及び無増悪生存期間(PFS)の延長、全生存期間(OS)の有意な改善も示しました。特に、DoR中央値は、静脈内投与群と比較して、アミバンタマブの皮下投与とラゼルチニブの併用療法群では数値的に延長し(中央値は確認済みレスポンダーにおいて11.2ヵ月対8.3ヵ月)、PFSも同様でした(中央値は6.1ヵ月対4.3ヵ月、ハザード比[HR]0.84、95% CI 0.64~1.10、P=0.20)。事前に規定された探索的評価項目において、皮下投与群は、静脈内投与群と比較して、OSが有意に延長したことが示されました(HR 0.62、95% CI 0.42~0.92、名目上P=0.02)。12ヵ月時点で皮下投与群の65%が生存しており、静脈内投与群では51%でした。アミバンタマブ皮下投与でみられる有効性は、リンパ系を介した皮下吸収に関連している可能性があり、免疫介在作用を高める可能性があるとの仮説を立てられます1。
特に注目すべきなのは、投与時間が、静脈内投与(5時間以下)と比較して、皮下投与(中央値は約5分未満)では大幅に短縮されており、統計学的に有意に、多くの患者さんが利便性を報告していることです(治療終了時点で、アミバンタマブ皮下投与群の85%に対して静脈内投与群は35%、P<0.001)1。
アミバンタマブ皮下投与の全体的な安全性プロファイルは、静脈内投与の既知のプロファイルと一貫しています。皮下投与群において最も多く確認された全グレード有害事象(20%以上)は、静脈内投与群と比較して、爪囲炎(皮下投与群54%対静脈内投与群51%)、低アルブミン血症(同47%対37%)、発疹(同46%対43%)でした。グレード4又は5のIRRの報告はありませんでした。皮下投与群におけるIRRの発現率は13%で、静脈内投与群は66%でした。本試験では予防的抗凝固剤をほとんどの患者さんに使用しており、VTEの発現率は、予防的抗凝固剤の投与を受けていた患者さんで10%、受けていなかった患者さんで21%でした。さらに、抗凝固剤の使用に関わらず、VTEの発現率は静脈内投与群が14%、皮下投与群は9%でした。皮下投与群と静脈内投与群の比較で、抗凝固剤の投与を受けていた患者さんの重篤な出血リスクは同程度でした(皮下投与群2%、静脈内投与群1%)1。
Johnson & Johnson Innovative Medicineのオンコロジー領域部門グローバル責任者を務めるYusri Elsayed(M.D., M.H.Sc., Ph.D.)は次のように述べています。「私たちは常に、EGFR変異を有するNSCLC患者さんの差し迫ったニーズを満たす革新的なアプローチを模索しており、今回の説得力のある所見は、アミバンタマブの新たな投与経路の可能性をより強固にします。私たちはこの製剤に関する薬事申請を進めることを期待しながら、EGFR変異を有するNSCLCの一次治療を変革するという私たちの望みを前進させます」
ジョンソン・エンド・ジョンソン傘下のJanssen-Cilag International NVは本日、RYBREVANT®に関する販売承認の拡張(ラインエクステンション)を欧州医薬品庁(EMA)に申請したことを発表しました。この申請は、PALOMA-3試験のデータに基づき、EGFR ex19del又はL858R変異を有する局所進行性又は転移性NSCLC成人患者さんの一次治療のためのラゼルチニブとの併用療法について、及びプラチナ製剤による療法の失敗後の活性化EGFRエクソン20挿入変異を有する進行性NSCLC成人患者さんにおける単独療法として、アミバンタマブ皮下投与の承認を求めるものです。ジョンソン・エンド・ジョンソンは、米国を含めその他の国や地域において、アミバンタマブ皮下投与の承認を求めて薬事申請を行ってまいります。
PALOMA-3試験について
PALOMA-3(NCT05388669)試験は、オシメルチニブ投与及び化学療法中に病勢が進行したEGFR変異を有する進行性又は転移性NSCLC患者さんを対象として、RYBREVANT®皮下投与とラゼルチニブの併用療法の薬物動態(PK)、有効性及び安全性を、RYBREVANT®静脈内投与とラゼルチニブ群と比較評価する、無作為化、非盲検、第III相試験であり、418名の患者さんが登録されました。本試験の2つの主要PK評価項目は、トラフ濃度(第2サイクルの1日目又は第4サイクルの1日目におけるCtrough)及び第2サイクルの曲線下面積(1日目から15日目の曲線下面積)でした。主な副次評価項目は、客観的奏効率及び無増悪生存期間でした。全生存期間は事前に規定された探索的評価項目でした。治療の最初の4ヵ月間は予防的抗凝固剤の投与が推奨されました2。
RYBREVANT®について
RYBREVANT®(アミバンタマブ)は、免疫細胞を介した作用によりEGFR及びMETを標的とする完全ヒト型二重特異性抗体です。米国食品医薬品局(FDA)が承認した検査によりEGFRエクソン20挿入変異が検出された局所進行性又は転移性NSCLC成人患者さんにおいて、プラチナ製剤による化学療法の実施中又は実施後に病勢が進行した場合の治療のための単独療法として、米国、欧州のほか、その他の複数の国や地域において承認を取得しています3。皮下投与製剤では、アミバンタマブは、Halozymeのドラッグデリバリー技術「ENHANZE®」である、遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼPH20(rHuPH20)と合剤化されます。
RYBREVANT®はまた、FDAが承認した検査によりEGFRエクソン20挿入変異が検出された局所進行性又は転移性NSCLC成人患者さんの一次治療として、化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセド)との併用について、米国で承認を取得しています。2023年10月、本適応についてRYBREVANT®の承認を求めるタイプII適応拡大申請を欧州医薬品庁(EMA)に提出しました。
2023年12月、ジョンソン・エンド・ジョンソンは、FDAが承認した検査によりEGFRエクソン19欠失変異又はL858R置換変異が検出された局所進行性又は転移性NSCLC成人患者さんの一次治療として、RYBREVANT®とラゼルチニブの併用について、生物製剤承認一部変更申請(sBLA)と新薬承認申請(NDA)を米国FDAに提出しました。この申請は、第III相MARIPOSA試験に基づいており、2024年2月に優先審査の対象として認められました。また、MARIPOSA試験に基づき、RYBREVANT®とラゼルチニブの併用について、販売承認申請(MAA)とタイプII適応拡大申請をEMAに提出しました。
2023年11月、ジョンソン・エンド・ジョンソンはMARIPOSA-2試験に基づき、オシメルチニブ投与中又は投与後に病勢が進行したEGFR変異を有するNSCLC患者さんの治療として、RYBREVANT®と化学療法の併用について、米国FDAにsBLAを提出しました。RYBREVANT®の本適応については、EMAにもタイプII適応拡大申請を提出しました。
NSCLCのNCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology(NCCN Guidelines®)では、EGFRエクソン20挿入変異の検出にはPCRベースよりNGSベースの検査技法が望ましいとされています。NCCN Guidelines®では以下のように推奨されています。
アミバンタマブ(RYBREVANT®)と化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセド)の併用は、未治療の新規に診断された進行性又は転移性EGFRエクソン20挿入変異陽性の進行性NSCLC患者さんに対しては、望ましい一次治療として(カテゴリー1の推奨)、又は免疫療法の併用に関わらずプラチナ製剤による化学療法の実施中又は実施後に病勢が進行し、EGFRエクソン20挿入変異を有する進行性NSCLC患者さんに対しては、後治療の選択肢として推奨(カテゴリー2の推奨)4†‡。
- アミバンタマブ(RYBREVANT®)と化学療法の併用は、オシメルチニブでの治療後に病勢の進行を経験した、EGFRエクソン19欠失変異又はエクソン21 L858R変異陽性の局所進行性又は転移性NSCLC患者さんに対しては、望ましい後治療の選択肢として推奨(カテゴリー1の推奨)4†‡。
- アミバンタマブ(RYBREVANT®)は、免疫療法の併用に関わらずプラチナ製剤による化学療法の実施中又は実施後に病勢が進行し、EGFRエクソン20挿入変異陽性のNSCLC患者さんに対しては、後治療の選択肢として推奨(カテゴリー2Aの推奨)4†‡。
以下に記載するNSCLCの患者さんを対象とする複数の臨床試験において、RYBREVANT®の評価を行っています。
- 第III相PALOMA-3(NCT05388669)試験は、EGFR変異を有する進行性又は転移性NSCLC患者さんを対象として、アミバンタマブ皮下投与とラゼルチニブの併用療法をアミバンタマブ静脈内投与と比較評価する試験です2。
- 第II相PALOMA-2(NCT05498428)試験は、EGFR変異を有するNSCLCを含む進行性又は転移性固形がん患者さんを対象として、アミバンタマブ皮下投与を評価する試験です5。
- 第I相PALOMA(NCT04606381)試験は、安全性及び薬物動態に基づき、アミバンタマブ皮下投与の実行可能性を評価するため、皮下投与の投与量、投与レジメン及び薬剤組成を決定するための試験です6。
- 第III相PAPILLON(NCT04538664)試験は、EGFRエクソン20挿入変異を有する進行性又は転移性NSCLCの患者さんの一次治療において、RYBREVANT®と化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセド)の併用療法を化学療法単独と比較評価する試験です7。
- 第III相MARIPOSA-2(NCT04988295)試験は、オシメルチニブ投与中又は投与後に病勢が進行したEGFRエクソン19欠失変異又はL858R置換変異を有する局所進行性又は転移性NSCLC患者さんを対象として、ラゼルチニブを併用もしくは併用しないRYBREVANT®と化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセド)を併用した場合の有効性を、化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセド)単独と比較評価する試験です8。
- 第III相MARIPOSA(NCT04487080)試験は、EGFRエクソン19欠失変異又はL858R置換変異を有する局所進行性又は転移性NSCLC患者さんの一次治療において、RYBREVANT®とラゼルチニブの併用療法を、オシメルチニブ及びラゼルチニブそれぞれの単剤療法と比較評価する試験です9。
- 第I相CHRYSALIS(NCT02609776)試験は、進行性NSCLC患者さんを対象としてRYBREVANT®を評価する試験です10。
- 第I/Ib相CHRYSALIS-2(NCT04077463)試験は、EGFR変異を有する進行性NSCLC患者さんを対象として、RYBREVANT®とラゼルチニブの併用療法とラゼルチニブ単剤療法とを比較評価する試験です11。
- 第I/II相METalmark(NCT05488314)試験は、局所進行性又は転移性NSCLC患者さんを対象として、RYBREVANT®とカプマチニブの併用療法を評価する試験です12。
- 第I/II相PolyDamas(NCT05908734)試験は、局所進行性又は転移性NSCLC患者さんを対象として、RYBREVANT®とセトレリマブの併用療法を評価する試験です13。
- 第II相SKIPPirr(NCT05663866)試験は、再発性又は難治性でEGFR変異を有する進行性又は転移性NSCLC患者さんを対象とするRYBREVANT®とラゼルチニブの併用療法において、初回投与に伴うIRRの発現率及び/又は重症度を低減する方法を探索する試験です14。
詳しくは、https://www.RYBREVANT.comをご覧ください。
非小細胞肺がん(NSCLC)について
世界的に見て肺がんは最も一般的ながんの1つであり、すべての肺がんのうちNSCLCは80〜85%を占めます15,16。NSCLCの主なサブタイプには、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんがあります17。NSCLCにおける最も一般的なドライバー遺伝子変異は、細胞の増殖や分裂をコントロールする受容体型チロシンキナーゼであるEGFRの変異です18。組織学的サブタイプが腺がんであるNSCLCの場合、欧米人患者さんの10〜15%、アジア人患者さんの40〜50%にEGFR変異が認められます17,18,19,20,21,22。EGFR ex19del変異又はEGFR L858R変異は、EGFR変異の中で最も一般的な変異です23。EGFR変異を有する進行性NSCLC患者さんでEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の治療歴のある患者さんの5年生存率は20%未満です24,25。EGFRエクソン20挿入変異は、3番目に多いEGFRを活性化する変異です26。実臨床におけるEGFRエクソン20挿入変異を有する患者さんの5年生存率は8%であり、EGFR ex19del変異又はEGFR L858R変異を有する患者さんの19%と比べ低い値となっています27。
ヤンセンについて
ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちはがん、免疫疾患、精神・神経疾患、心血管疾患、肺高血圧症、網膜疾患の分野で貢献ができると考え、注力しています。
ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。
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ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です。
【本件に関するお問合せ先】
ヤンセンファーマ株式会社
コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部
E-mail: [email protected]
*Leighl氏は、ジョンソン・エンド・ジョンソンのコンサルタントを務めていますが、メディアに対する活動についての報酬は受け取っていません。
†その他の治療選択肢を含め、詳細な推奨事項についてはNCCNガイドラインをご参照ください。
‡NSCLCに関するNCCNガイドラインでは、検査すべき特定の各バイオマーカー、ならびに検査技法について推奨事項を提示していますが、特定の市販バイオマーカーアッセイや民間検査機関を推奨するものではありません。
§NCCNの内容は医学的な助言を意味するものではなく、有資格の医師による専門的・医学的助言、診断又は治療を求める代わりに使用されるべきではありません。NCCNは、その内容、使用又は適用に関していかなる保証も行わず、いかなる責任も負いません。