EGFR-TKIによる治療後に増悪した患者さんに対する新たな治療選択肢
本併用療法は、オシメルチニブ単独投与による治療後に増悪した患者さんを対象に、化学療法単独療法と比較し、52%の病態進行又は死亡リスクの減少を示した初めてのレジメン
Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ株式会社、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:關口修平、以下「J&J」)は19日、二重特異性抗体「ライブリバント®点滴静注350mg」(一般名:アミバンタマブ〔遺伝子組換え〕、以下「ライブリバント®」)と化学療法(カルボプラチン及びペメトレキセドナトリウム)との併用療法について、既承認の効能又は効果である「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対する用法及び用量の一部変更の承認を取得しました。
肺がんは世界的に最もよく知られているがんの1つであり、死亡率も最も高いがんの1つです1,2。全ての肺がんのうち、非小細胞肺癌(NSCLC)は80~85%を占めます1,2。NSCLCにおける最も一般的なドライバー遺伝子変異は、細胞の増殖や分裂をコントロールする受容体型チロシンキナーゼであるEGFR遺伝子の変異です3。そして、現在の標準治療であるTKI単剤療法を受けたEGFR遺伝子変異を有する進行性NSCLC患者さんの5年生存率は20%未満です4,5。一次治療としてTKI単剤療法を受けた後の獲得耐性により、二次治療がより困難となる場合があります6,7。また、化学療法に免疫療法が加わったとしても、臨床的に有意な改善は認められていません8,9。このような背景からこれまで国内外において確固たるエビデンスに基づいたEGFR-TKI単剤治療後の治療方法が確立されておらず、アンメットニーズが残されておりました。
今回の承認は、オシメルチニブ単独投与による治療後に増悪したEGFR遺伝子エクソン19欠失変異又はエクソン21の L858R置換変異を有する局所進行性又は転移性NSCLCを対象として、ライブリバント®と化学療法を併用した場合の有効性及び安全性を評価する、国際共同第III相MARIPOSA-2試験の結果10に基づくものです。化学療法単独療法に対して、ライブリバント®と化学療法の併用療法では52%の病勢進行又は死亡リスクの減少が示されました10。なお、主要評価項目である無増悪生存期間(Progression-free survival: PFS)においては、ライブリバント®と化学療法の併用療法群では、PFS中央値が6.3カ月、化学療法単独療法群は4.2カ月でした。さらに、ライブリバント®と化学療法の併用療法群は奏効率(overall response rate: OOR)が53%、化学療法単独療法群では29%でした10。
ライブリバント®は化学療法との併用療法について、オシメルチニブ治療により病勢進行したEGFR遺伝子変異を有するNSCLC患者さんに対しては、National Comprehensive Cancer Network®(NCCN®)が推奨する唯一のカテゴリー1の治療選択肢となります11†‡。それに加え、米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology)による治療ガイドラインでは、二次治療にライブリバント®と化学療法の併用療法は強く推奨されています。さらに、欧州臨床腫瘍学会(European Society for Medical Oncology)の治療ガイドラインによると、本併用療法は二次治療としてIAで推奨されています。
なおライブリバント®と化学療法との併用療法に関する安全性プロファイルは、それぞれの単剤の安全性プロファイルと一貫していました。ライブリバント®を含むレジメンにおいて、有害事象による全ての薬剤の投与の中止につながる有害事象の発現見率は8%でした10。
静岡県立静岡がんセンター副院長の高橋利明先生aは次のように述べています。「今回の承認により、EGFR-TKIによる治療後に病勢進行したEGFR遺伝子変異陽性のNSCLC患者さんにとって、臨床的ベネフィットが期待できる新しい治療選択肢を提示することが可能になります」
J&J Innovative Medicine Japanの代表取締役社長である關口修平は次のように述べています。「J&Jは、昨年のライブリバントの上市以来、非小細胞肺がん治療におけるさまざまなアンメットニーズに応えるイノベーションをもたらしています。今回の承認取得により、ライブリバントは、ラズクルーズとの併用療法で、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんの一次治療としてだけではなく、化学療法との併用療法として、EGFR-TKI単剤による治療後のアンメットニーズに対しても治療選択肢をもたらすことができるようになります。ライブリバントをベースとする治療法が日本の肺がん治療を進展させ、より多くの患者さんに新たな生きる希望をもたらすことができるものと期待しています」
製品概要(用法及び用量の追加)
製品名:
ライブリバント®点滴静注350mg(Rybrevant® Intravenous Infusion)
一般名:
アミバンタマブ(遺伝子組換え)
効能又は効果:
EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
用法及び用量:
カルボプラチン及びペメトレキセドナトリウムとの併用において、3週間を1サイクルとし、通常、成人にはアミバンタマブ(遺伝子組換え)として以下の用法及び用量で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。
包装:
7mL「1バイアル」
薬価:
350㎎7mL1瓶 160,014円
製造販売承認日:
製造販売一部変更承認年月日:
2025年5月19日
薬価基準収載日:
2024年11月20日
発売日:
2024年11月20日
製造販売元:
ヤンセンファーマ株式会社
用語の説明:
a. 高橋利明先生は、メディア関連の活動に関する報酬は受け取っていない。
MARIPOSA-2試験について
MARIPOSA-2試験(NCT04988295)は、オシメルチニブによる治療中又は治療後に病勢進行したEGFR遺伝子エクソン19欠失変異又はエクソン21の L858R置換変異を有する局所進行性又は転移性NSCLCを対象として、ライブリバント®と化学療法を併用した場合の有効性及び安全性を評価する、無作為化、非盲検、国際共同第III相試験であり、657名の患者さんが登録されています12。患者さんは、ライブリバント®+化学療法、ライブリバント®+化学療法とラズクルーズ®、あるいは、化学療法単独による治療へ無作為に割り付けました12。今回の一部変更申請については、本試験におけるライブリバント®+化学療法、化学療法単独の結果に基づくものです。ライブリバント®+化学療法とラズクルーズ®は未承認です。
本試験の主要評価項目は、盲検下独立中央評価(BICR)により判定したPFS(RECIST v1.1ガイドライン§に基づく)でした。副次評価項目は、BICRにより評価されたOS、病勢進行までの期間(DOR)、後続治療までの期間、最初のランダム化から後続治療後の病勢進行又は死亡までの期間(PFS2)、頭蓋内PFSでした12。
ライブリバント®について
ライブリバント®は、EGFR及びMETを標的とし、免疫細胞を介した作用もある完全ヒト型二重特異性抗体であり、ライブリバント®は、米国食品医薬品局(FDA)が承認した検査によりEGFR遺伝子エクソン19欠失変異又はエクソン21のL858R置換変異が検出された局所進行性又は転移性NSCLC成人患者さんの一次治療として、ラズクルーズ™との併用について、米国や欧州のほか、その他の複数の国や地域において承認を取得しています。
ライブリバント®は、FDAが承認した検査によりEGFR遺伝子エクソン20挿入変異が検出された局所進行性又は転移性NSCLC成人患者さんにおいて、プラチナ製剤による化学療法の実施中又は実施後に病勢が進行した場合の単剤療法として、米国、欧州のほか、その他の複数の国や地域において承認を取得しています10。
ライブリバント®は、FDAが承認した検査によりEGFR遺伝子エクソン20挿入変異が検出された局所進行性又は転移性NSCLC成人患者さんの一次治療として、化学療法(カルボプラチン及びペメトレキセドナトリウム)との併用について、米国、欧州のほか、その他の複数の国や地域において承認を取得しています。
ライブリバント®は、EGFR遺伝子エクソン19欠失変異又はL858R置換変異を有する局所進行性又は転移性NSCLC成人患者さんにおいて、EGFR TKIによる治療の実施中又は実施後に病勢が進行した場合の治療として、化学療法(カルボプラチン及びペメトレキセドナトリウム)との併用について、米国、欧州のほか、その他の複数の国や地域において承認を取得しています。
日本国内では、ライブリバント®はEGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLCの治療薬として承認されています。また、ライブリバント®とラズクルーズ®の併用療法は、EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌における治療としても承認されています。
National Comprehensive Cancer Network®(NCCN®)のNSCLCに対するClinical Practice Guidelines in Oncology(NCCN Guidelines®)¶は、EGFR遺伝子エクソン20挿入変異の検出方法として、ポリメラーゼ連鎖反応法を用いた方法よりも、次世代シーケンシングを用いた方法を推奨しています。NCCN Guidelinesには以下が含まれています。
- アミバンタマブ(ライブリバント®)とラゼルチニブ(ラズクルーズ®)の併用療法は、EGFR遺伝子エクソン19欠失変異又はエクソン21の L858R置換変異を有する局所進行性又は転移性NSCLCに対する一次治療として、カテゴリー1で推奨11†‡
- アミバンタマブ(ライブリバント®)と化学療法との併用療法は、オシメルチニブによる治療後に病勢進行したEGFR遺伝子エクソン19欠失変異又はエクソン21の L858R置換変異を有する局所進行性又は転移性NSCLCに対し、カテゴリー1で推奨11†‡
- アミバンタマブ(ライブリバント®)と化学療法との併用療法は、新たに診断されたEGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の進行性NSCLCに対する一次治療として、カテゴリー1で推奨11†‡
- アミバンタマブ(ライブリバント®)は、免疫療法の使用有無を問わず、プラチナ製剤をベースとする化学療法の実施中又は実施後に病勢進行したEGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性のNSCLCに対し、カテゴリー2Aで推奨11†‡
MARIPOSA-2試験に加え、ライブリバント®はNSCLCを対象とした以下の複数の臨床試験で研究開発が行われています。
- 第III相MARIPOSA 試験(NCT04487080):EGFR遺伝子エクソン19欠失変異またはL858R置換変異を有する局所進行性又は転移性NSCLC患者さんの一次治療において、アミバンタマブとラゼルチニブとの併用療法を、オシメルチニブ単剤療法もしくはラゼルチニブ単剤療法と比較評価する試験13。
- 第III相PAPILLON 試験(NCT04538664):EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の進行性又は転移性のNSCLCを対象として、ライブリバント®と化学療法(カルボプラチン及びペメトレキセドナトリウム)の併用療法を、化学療法と比較評価する試験14。
- 第III相PALOMA-3試験(NCT05388669):EGFR遺伝子変異を有する進行性又は転移性NSCLCを対象として、ラズクルーズ®とライブリバント®皮下投与製剤の併用療法とライブリバント®静脈内投与とを比較評価する試験15。日本国内においては未承認。
- 第I相CHRYSALIS試験(NCT02609776):進行性NSCLCを対象に、ライブリバント®について評価する試験16。日本国内においては未承認。
- 第I/Ib CHRYSALIS-2試験(NCT04077463):EGFR遺伝子変異を有する進行性NSCLCを対象として、ライブリバント®とラズクルーズ®の併用療法及びラズクルーズ®単剤療法を評価する試験17。
- 第II相PALOMA-2試験(NCT05498428):EGFR遺伝子変異を有するNSCLCを含む進行性又は転移性固形がんを対象として、対するライブリバント®皮下投与製剤を評価する試験18。日本国内においては未承認。
- 第I/II相METalmark(NCT05488314):局所進行性又は転移性NSCLCを対象として、ライブリバント®とcapmatinibの併用療法を評価する試験19。日本国内においては未承認。
非小細胞肺がん(NSCLC)について
世界的に見て肺がんは最もよく知られているがんの1つであり、すべての肺がんのうちNSCLCは80〜85%を占めます1,2。NSCLCの主なサブタイプには、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんがあります20。NSCLCにおける最も一般的なドライバー遺伝子変異は、細胞の増殖や分裂をコントロールする受容体型チロシンキナーゼであるEGFR遺伝子の変異です21。組織学的サブタイプが腺がんであるNSCLCの場合、欧米人患者さんの10〜15%、アジア人患者さんの40〜50%にEGFR遺伝子変異が認められます20,21,22,23,24,25。EGFR遺伝子エクソン19欠失変異又はEGFR遺伝子L858R変異は、EGFR遺伝子変異の中で最も一般的な変異です26。EGFR遺伝子変異を有する進行性NSCLC患者さんでEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の治療歴のある患者さんの5年生存率は20%未満です4,5。
用語の説明:
† その他の治療選択肢を含め、詳細な推奨事項についてはNCCNガイドラインをご参照ください。
‡NCCNガイドラインでは、検査すべき特定の各バイオマーカーについて、ならびに検査技法について推奨事項を提示していますが、特定の市販バイオマーカーアッセイや民間検査機関を推奨するものではありません。
¶NCCNの内容は医学的な助言を意味するものではなく、有資格の開業医による専門的・医学的な助言、診断または治療を求める代わりに使用するべきではありません。NCCNは、その内容の妥当性または適用可能性についていかなる保証も責任も負いません。
Johnson & Johnson について
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます。
日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について
Johnson & Johnson Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域―がん、免疫疾患、精神・神経疾患、心・肺疾患、および眼疾患領域における学術および情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。新しいJohnson & Johnson Innovative Medicineブランドとともに、私たちは、今後も医療の未来を切り拓き、日本の患者さんに革新的な医薬品をお届けしていきます。
Johnson & Johnson Innovative Medicineに関する詳しい情報はinnovativemedicine.jnj.com/japan/をご覧ください。また、www.facebook.com/JanssenJapan/をフォローしてください。
将来に関する記述
このプレスリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、製品開発及びライブリバント®の潜在的なベネフィット及び治療影響に関するものです。お読みの際には、これらの将来の見通しのみに依拠しないよう、ご注意ください。これらの記述は、将来の事象に関する現時点での予測に基づいています。
基礎となる前提が不正確であると判明した場合、あるいは既知もしくは未知のリスクや不確実性が現実化した場合、実際の成果は、Janssen Research & Development, LLC、Janssen Biotech, Inc.、ヤンセンファーマ株式会社及び/又はジョンソン・エンド・ジョンソンの予測や見通しと大きく異なる可能性があります。
リスクと不確実性には、これらに限定されるものではありません。臨床的成功及び規制当局の承認取得の不確実性をはじめとする製品の研究開発に伴う課題や不確実性、商業的成功の不確実性、製造上の問題または遅延、競合他社による特許取得、新製品開発、特許に対する異議申し立て、製品回収又は規制当局による措置につながる可能性、製品の有効性又は安全性に関する懸念、ヘルスケア製品及びサービスの購入者の行動や支出パターンの変化、世界的な医療改革などの適用される法律や規制の変更、医療費抑制への動きなどが含まれますが、これらに限定されるものではありません。
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