トアルクエタマブは現在申請中であり、本邦未承認です。
トアルクエタマブは、投与前の調製不要な*GPRC5DとCD3を標的とする、世界で初めて承認された二重特異性抗体1
第I/II相MonumenTAL-1試験2,3の日本人コホート、追跡期間中央値13.4ヵ月において再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんにおける全奏効率は77.8%で、55.6%が完全奏効以上を達成
第50回 日本骨髄腫学会にてLate-Breaking Abstractsとして口頭発表
Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ株式会社、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:關口修平、以下「J&J」)は24日、多発性骨髄腫の患者さんを対象とする、トアルクエタマブの第I/II相MonumenTAL-1試験2,3における日本人コホートの結果を発表しました。 本試験の日本人コホートは、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む少なくとも3つの標準的な治療歴を有する、再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者さんが対象で、トアルクエタマブによる治療の結果、追跡期間中央値13.4カ月の時点で、全奏効率(Overall Response Rate : ORR)は77.8%でした。これらの結果は、2025年5月23日から25日まで群馬県高崎市で開催された第50回日本骨髄腫学会(JSM)にてLate-Breaking Abstractsに採択され、口頭発表されました。
多発性骨髄腫は依然として治癒困難な血液がんであり、再発を繰り返し、その度に別の治療を行わなければならなくなる患者さんが多くいます4,5。そして、再発して症状の再燃を繰り返す度に症状は悪化し、治療が奏効する可能性は低くなり、奏効持続期間も短くなる傾向にあります6。日本国内における2020年の多発性骨髄腫の新規診断者数は約7,300人7で、2023年の死亡者数は約4,300人7とされています。
第I/II相MonumenTAL-1試験の第II相日本人コホート(n=36)では、国内第I相MMY1003試験8において忍容性が確認されたトアルクエタマブの第II相推奨用量(RP2D)について、日本人患者さんにおける有効性及び安全性を、ORRを主要評価項目として評価しました。解析の結果、日本人患者さんにおいて、トアルクエタマブの深く持続的な奏効が認められました。
トアルクエタマブは、T細胞表面に発現するCD3受容体と、多発性骨髄腫細胞表面に高発現するGタンパク質共役型受容体ファミリーCグループ5メンバーD(GPRC5D)に結合する二重特異性抗体です1。J&Jは、トアルクエタマブに関し、治療選択肢が限られた治癒困難な多発性骨髄腫の治療薬として、国際共同第I/II相MonumenTAL-1試験2,3及び国内第I相MMY1003試験8の結果に基づき、2024年11月20日に日本国内での製造販売承認申請を行っています。これらの試験では、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんにおけるトアルクエタマブの有効性及び安全性を評価しています。
第II相MonumenTAL-1試験の日本人コホートでは、追跡期間中央値13.4か月におけるORRは77.8%であり、最良部分奏効(Very Good Partial Response:VGPR)以上が72.2%、完全奏効(Complete Response:CR)以上が55.6%、厳格な完全奏効(Stringent Complete Response:sCR)は47.2%でした。12か月時点の奏効持続期間(Duration of Response:DOR)率、無増悪生存期間(Progression Free Survival:PFS)、全生存期間(Overall Survival:OS)率はそれぞれ66.4%、56.3%、74.1%でした。初回奏効までの期間中央値は1.2か月でした。
なお安全性に関する所見は、MonumenTAL-1試験の海外データと一貫しており、安全性に関する新たなシグナルは認められませんでした。グレード3/4の有害事象としては血液毒性が最も一般的に認められ、主なものは、リンパ球減少症(全グレード、47.2%;グレード3又は4、47.2%)、好中球減少症(全グレード、38.9%;グレード3又は4、27.8%)、貧血(全グレード、27.8%;グレード3又は4、22.2%)でした。サイトカイン放出症候群(CRS)が75.0%で認められましたが、いずれの症例もグレード1(58.3%)又はグレード2(16.7%)であり、治療の中止をせずに全て回復しました。免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は認められませんでした。感染症は52.8%の患者さんで認められ、グレード3又は4の感染症の発現率は16.7%でした。
GPRC5D関連有害事象として、味覚関連、発疹以外の皮膚障害**、爪関連、皮疹関連有害事象がそれぞれ80.6%、66.7%、55.6%、36.1%で認められましたが、ほとんどがグレード1又は2で、治療の中止例はありませんでした。
**発疹は、斑状丘疹状皮疹、紅斑性皮疹、紅斑に該当する事象。発疹以外の皮膚障害は、皮膚剥脱、皮膚乾燥、そう痒症、手掌・足底発赤知覚不全症候群に該当する事象。
J&J Innovative Medicine Global Therapeutic Area Oncology HeadのYusri Elsayed, M.D., M.H.Sc., Ph.D.は、次のように述べています。「第I/II相MonumenTAL-1試験の日本人コホートでは、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんにおいて、トアルクエタマブは、深く持続的な奏効を示しました。これらの結果は、さまざまなアプローチによるポートフォリオを通じ、治療選択肢の限られた多発性骨髄腫とともに生きるすべての患者さんのアウトカムに変革をもたらすことに重点を置く私たちの姿勢を強調するものです。この新しい治療薬をいち早く日本の患者さんにもお届けできるよう尽力して参ります」
MonumenTAL-1試験について
MonumenTAL-1試験(第I相:NCT03399799 第II相:NCT04634552)は300人以上の多発性骨髄腫の患者さんを対象とする第I/II相、単群、非盲検、多施設共同、マルチコホート、用量漸増試験です2,3。第I相では、既存治療を行ったにも関わらず病勢進行した、又は忍容性のない成人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象に、トアルクエタマブの安全性と有効性を評価しました1,2。第II相では、プロテアソーム阻害剤、免疫調節薬、抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む3つ以上の治療歴を有する、成人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象に、第I相試験で特定された推奨用量(毎週0.4mg/kg及び隔週0.8mg/kg投与)におけるトアルクエタマブの有効性を、ORRを主要評価項目として評価しました3。
MMY1003試験について
MMY1003試験(NCT04773522)は、第I相、単群、非盲検、多施設共同、マルチコホート、用量漸増試験です。本試験では、プロテアソーム阻害剤、免疫調節薬、抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む治療歴を有する、日本人成人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象に、MonumenTAL-1試験の第I相で特定されたトアルクエタマブの推奨用量における安全性、忍容性及び有効性について評価しました8。
多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は、白血球の一種である形質細胞が骨髄内でがん化し、骨髄腫細胞となり異常に増殖することで生じる、治癒困難な血液がんです9,10。多発性骨髄腫は初期には無症状の場合もありますが、骨折や骨痛、赤血球数の減少、疲労、カルシウム値の上昇や腎障害などの症状が現れる患者さんもいます11。
トアルクエタマブについて
トアルクエタマブは、T細胞表面に発現するCD3受容体と、多発性骨髄腫における新規の標的で、多発性骨髄腫細胞及び非悪性形質細胞の表面、また皮膚や舌の上皮細胞などの一部の正常組織の表面に高発現するGPRC5Dに結合する二重特異性抗体です1 。トアルクエタマブは、投与前の調製不要な*GPRC5DとCD3を標的とする世界で初めて承認された二重特異性抗体であり、日本国内において現在開発中です。トアルクエタマブは、2024年3月、日本国内において希少疾病用医薬品の指定を受けています。また国外では、成人の再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象としたファースト・イン・クラスの二重特異性抗体として、2023年8月、米国食品医薬品局から迅速承認を取得し、欧州委員会から条件付き販売承認を取得しています。
*本剤は、希釈が不要であり、調製済みの注射液という意味。
Johnson & Johnson について
Johnson & Johnson (ジョンソン・エンド・ジョンソン、J&J)は、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます。
日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について
Johnson & Johnson Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域―がん、免疫疾患、精神・神経疾患、心・肺疾患、および眼疾患領域における学術および情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。私たちは、医療の未来を切り拓き、日本の患者さんに革新的な医薬品をお届けしていきます。
Johnson & Johnson Innovative Medicineに関する詳しい情報はinnovativemedicine.jnj.com/japan/をご覧ください。また、www.facebook.com/JanssenJapan/をフォローしてください。
将来に関する記述
このプレスリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、製品開発及びトアルクエタマブの潜在的なベネフィット及び治療影響に関するものです。お読みの際には、これらの将来の見通しのみに依拠しないよう、ご注意ください。これらの記述は、将来の事象に関する現時点での予測に基づいています。
基礎となる前提が不正確であると判明した場合、あるいは既知もしくは未知のリスクや不確実性が現実化した場合、実際の成果は、Janssen Research & Development, LLC、Janssen Biotech, Inc.、ヤンセンファーマ株式会社及び/又はジョンソン・エンド・ジョンソンの予測や見通しと大きく異なる可能性があります。
リスクと不確実性には、これらに限定されるものではありません。臨床的成功及び規制当局の承認取得の不確実性をはじめとする製品の研究開発に伴う課題や不確実性、商業的成功の不確実性、製造上の問題または遅延、競合他社による特許取得、新製品開発、特許に対する異議申し立て、製品回収又は規制当局による措置につながる可能性、製品の有効性又は安全性に関する懸念、ヘルスケア製品及びサービスの購入者の行動や支出パターンの変化、世界的な医療改革などの適用される法律や規制の変更、医療費抑制への動きなどが含まれますが、これらに限定されるものではありません。
これらのリスクや不確実性、その他要因の詳細と一覧については、最新のForm10-Kに基づくジョンソン・エンド・ジョンソンの年次報告書の「将来予測に関する記述に関する注意事項(Cautionary Note Regarding Forward-Looking Statements)」、「リスク要因(Item 1A)」のセクション、またはジョンソン・エンド・ジョンソンの四半期報告書(From 10-Q)及び証券取引委員会へのその他の提出書類をご参照ください。
これら書類は、オンライン(www.sec.gov, www.jnj.com)でご覧いただくか、もしくはジョンソン・エンド・ジョンソン宛てにご請求ください。Janssen Research and Development, LLC、Janssen Biotech, Inc.、ヤンセンファーマ株式会社及びジョンソン・エンド・ジョンソンは、新たな情報や今後の事象・変化などに基づいて、将来予測に関する記述を更新する義務を負いません。
【本件に関するお問合せ先】
Johnson & Johnson Innovative Medicine
コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部
E-mail: [email protected]