第III相PERSEUS試験では、DVRd群はVRd群と比較し、病勢進行又は死亡リスクを58%低下1 第III相CEPHEUS試験では、追跡期間中央値22.3カ月の時点で、微小残存病変陰性率53.3%を示す2
ダラキューロ®の添付文書改訂により、4剤併用療法(DVRd療法)が使用可能に
Johnson & Johnson(日本における医療用医薬品事業の法人名:ヤンセンファーマ株式会社、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:クリス・リーガー、以下「J&J」)は25日、ヒト型抗CD38モノクローナル抗体/ヒアルロン酸分解酵素配合剤「ダラキューロ®配合皮下注」[一般名:ダラツムマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、以下「ダラキューロ®」]について、医薬品添付文書改訂相談に基づく添付文書改訂により、用法及び用量に関連する注意が追加された結果、ダラキューロ®とボルテゾミブ、レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用療法(以下、DVRd療法)が、造血幹細胞移植(Autologous Stem Cell Transplantation:ASCT)が適応及び適応とならない未治療の多発性骨髄腫に対する新たな治療選択肢として患者さんに提供可能になることをお知らせいたします。
今回の添付文書改訂は、ASCTの適否にかかわらず未治療の多発性骨髄腫に対するダラキューロ®とボルテゾミブ、レナリドミド及びデキサメタゾンの併用療法を使用可能にするためのものです。
多発性骨髄腫は依然として治癒困難な血液がんであり、再発を繰り返し、その度に別の治療を行わなければならなくなる患者さんが多くいます3,4。そして、再燃を繰り返す度に症状は悪化し、治療が奏効する可能性は低くなり、奏効持続期間も短くなる傾向にあります5。日本国内における2020年の多発性骨髄腫の新規診断者数は約7,300人6で、2023年の死亡者数は約4,300人6とされています。
ASCT適応となる未治療の多発性骨髄腫におけるDVRd療法は、海外第III相試験であるPERSEUS試験(NCT03710603)において、またASCTの適応とならない未治療の多発性骨髄腫におけるDVRd療法については、国際共同第III相試験であるCEPHEUS試験(NCT03652064)において、その有効性及び安全性が評価されました。
海外第III相試験であるPERSEUS試験では、追跡期間中央値47.5カ月時点で、主要評価項目である無増悪生存期間(Progression Free Survival:PFS)において有意な延長が認められ、DVRd群(355例)はVRd群(354例)と比較し、病勢進行又は死亡リスクを58%低下させました(ハザード比, 0.42; 95%信頼区間0.30-0.59; P<0.0001)1。また主要な副次評価項目である10-5閾値でのMRD陰性率はDVRd群で75.2%、VRd群で47.5%でした(オッズ比:3.40 95%信頼区間2.47-4.69、P<0.0001)。そして、完全奏効(Complete Response:CR)以上の奏効が認められた患者さんの割合は、DVRd群が87.9%であったのに対し、VRd群は70.1%(オッズ比:3.13 95%信頼区間2.11-4.65、P<0.0001)であり、DVRd療法はVRd療法と比べ、深い奏効をもたらしました。更に、他の副次評価項目である12カ月以上の持続的なMRD陰性率(10-5閾値)を達成した患者さんの割合はDVRd群で64.8%、VRd群で29.7%でした1。
本試験におけるDVRd療法の安全性プロファイルは、各薬剤の既知の安全性プロファイルと一貫していました7。主な血液学的な有害事象(20%以上の発生率)は、DVRd群、VRd群それぞれにおいて、好中球減少症(62.4%、53.9%)、末梢性感覚ニューロパチー(49.3%、47.7%)、下痢(45.6%、37.5%)血小板減少症(48.4%、34.3%)、貧血(22.2%、20.7%)でした3。(クリニカルカットオフ日:2023年8月1日)
一方、国際共同第III相試験であるCEPHEUS試験では、ASCTの適応とならない未治療の多発性骨髄腫患者さんを対象として、DVRd群(197例)の有効性及び安全性をVRd群(198例)と比較評価しました2。主要解析(観察期間中央値22.3カ月)時点で、主要評価項目であるMRD(10-5閾値)の評価が可能であった患者さんのMRD陰性率(オッズ比、2.07;95%信頼区間:1.38-3.10;p=0.0004)は、DVRd群53.3%、VRd群35.4%で、主要評価項目を達成しました(クリニカルカットオフ日:2021年4月8日)2。
また中間解析(観察期間中央値39.0カ月)時点で、12カ月以上の持続的MRD陰性を達成した患者さんの割合は、DVRd群で42.6%、VRd群で25.3%でした(オッズ比, 2.18;95%信頼区間:1.42-3.34;P=0.0003)2。最終解析(観察期間中央値58.7カ月)時点では、DVRd群は、VRd群と比較して、CR以上の割合が高く、また奏効の深さも有意に増加しました2。CR以上の奏効が認められた患者さんの割合はDVRd群では81.2%、VRd群で61.6%でした(オッズ比、2.73;95%信頼区間:1.71-4.34;p<0.0001 名目上のp値)2。
また副次評価項目であるPFS中央値はいずれの群も未到達でした。(ハザード比:0.61、95%信頼区間:0.42-0.90、p=0.0104)(クリニカルカットオフ日:2022年9月8日)2。
なお本試験におけるDVRdの安全性プロファイルは、ダラキューロ®及びVRdの既知の安全性プロファイルと一貫していました2。認められた主なグレード3/4の血液学的及び非血液学的有害事象(10%以上)は、末梢性感覚ニューロパチー(53.8%、59.5%)、好中球減少症(50.8%、39.5%)、下痢(40.6%、36.9%)でした2。(クリニカルカットオフ日:2024年5月7日)
J&J Innovative Medicine代表取締役社長のクリス・リーガーは、次のように述べています。「ダラキューロをベースとする4剤併用療法(DVRd)が使用可能となったことは、未治療の多発性骨髄腫の治療における重要な一歩となります。多発性骨髄腫患者さんのうち、造血幹細胞移植が適応となる患者さんにおける課題の1つは、移植後の病勢進行及び再発の抑制です。今回DVRd療法が可能となったことで、これらのアンメットニーズに対処し、移植適応における治療を前進させるものと期待しています。一方、移殖が適応とならない多発性骨髄腫に対しては、DVRd療法という4剤併用療法が新たに加わったことで、患者さんの状態に応じて最適な治療法が選択され、初回治療での深く持続的な奏効及び生存期間の延長に寄与できればと願っています」
PERSEUS試験について
PERSEUS試験(NCT03710603)ヨーロッパ骨髄腫ネットワーク(European Myeloma Network)の協力の下、実施されています8。本試験は、移殖適応の未治療の多発性骨髄腫患者さん(355例)を対象に、DVRd療法と自家造血幹細胞移植(ASCT)後のD-R維持療法を、VRd療法とASCT後のレナリドミドによる維持療法とを比較する、現在進行中の無作為化、非盲検、第III相試験です8。主要評価項目はPFSで、主な副次評価項目はCR以上の奏効率、CR以上を達成した患者さんにおけるMRD陰性率(10-5閾値)、全生存期間(OS)です。ダラキューロ®による治療は、CR以上の患者さんにおいて、少なくとも12か月間の持続的なMRD陰性状態を維持している場合、D-R維持療法を少なくとも24か月受けた後に中止されました。DVRd群における年齢の中央値は61.0歳(範囲32-70歳)、VRd群では59.0歳(範囲31-70歳)でした。本試験は、ヨーロッパとオーストラリアなど、計13か国で実施されています8。
CEPHEUS試験について
CEPHEUS試験(NCT03652064)は、移植非適応又は初回治療として造血幹細胞移植が適応とならない未治療の多発性骨髄腫患者さんを対象に、DVRd療法の有効性と安全性をVRd療法と比較する、現在進行中の多施設共同、無作為化、非盲検、第III相試験です2,9。本試験には、新たに多発性骨髄腫と診断され、移植非適応又は移殖が適応とならない患者さん395例が組み入れられています2。主要評価項目は、感度閾値10-5でのMRD陰性率で、主な副次評価項目はCR以上の奏効率、PFS、12カ月以上の持続的MRD陰性率です2。DVRd群及びVRd群に組み入れられた患者さんの年齢の中央値は70歳(範囲31-80歳)でした。本試験は、日本を含む北米、南米及び欧州の計13ヵ国において実施されました2。
多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は、白血球の一種である形質細胞が骨髄内でがん化し、骨髄腫細胞となり異常に増殖することで生じる、治癒困難な血液がんです10,11。多発性骨髄腫は初期には無症状の場合もありますが、骨折や骨痛、赤血球数の減少、疲労、カルシウム値の上昇や腎障害などの症状が現れる患者さんもいます12。
ダラキューロ®配合皮下注ついて
ダラツムマブ皮下投与製剤であるダラキューロ®は、日本では2021年3月に多発性骨髄腫の治療薬として承認され、同年5月に発売されました。多発性骨髄腫、全身性ALアミロイドーシスの2つの疾患にわたり、5つの治療レジメンで使用されます。
また米国では、2020年5月に米国食品医薬品局の承認を取得し、多発性骨髄腫における9つの適応症に対して承認されています。そのうちの4つが、移植適応又は移植非適応の未治療の多発性骨髄腫患者さんに対する治療です13。本剤は、多発性骨髄腫治療薬として承認されている唯一の抗CD38抗体薬皮下注製剤です。ダラキューロ®は、Halozyme社のENHANZE®ドラッグデリバリー技術である遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼPH20と共に製剤化されています。
なお、ダラザレックス®をベースとするレジメンは、世界中の618,000人以上の患者さんの治療に用いられています。
Johnson & Johnson について
Johnson & Johnson (ジョンソン・エンド・ジョンソン、J&J)は、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます。
日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について
Johnson & Johnson Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域―がん、免疫疾患、精神・神経疾患、心・肺疾患領域における学術および情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。私たちは、医療の未来を切り拓き、日本の患者さんに革新的な医薬品をお届けしていきます。
Johnson & Johnson Innovative Medicineに関する詳しい情報はinnovativemedicine.jnj.com/japan/をご覧ください。
将来に関する記述
このプレスリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、製品開発及びダラキューロ®の潜在的なベネフィット及び治療影響に関するものです。お読みの際には、これらの将来の見通しのみに依拠しないよう、ご注意ください。これらの記述は、将来の事象に関する現時点での予測に基づいています。
基礎となる前提が不正確であると判明した場合、あるいは既知もしくは未知のリスクや不確実性が現実化した場合、実際の成果は、Janssen Research & Development, LLC、Janssen Biotech, Inc.、ヤンセンファーマ株式会社及び/又はジョンソン・エンド・ジョンソンの予測や見通しと大きく異なる可能性があります。
リスクと不確実性には、これらに限定されるものではありません。臨床的成功及び規制当局の承認取得の不確実性をはじめとする製品の研究開発に伴う課題や不確実性、商業的成功の不確実性、製造上の問題または遅延、競合他社による特許取得、新製品開発、特許に対する異議申し立て、製品回収又は規制当局による措置につながる可能性、製品の有効性又は安全性に関する懸念、ヘルスケア製品及びサービスの購入者の行動や支出パターンの変化、世界的な医療改革などの適用される法律や規制の変更、医療費抑制への動きなどが含まれますが、これらに限定されるものではありません。
これらのリスクや不確実性、その他要因の詳細と一覧については、最新のForm10-Kに基づくジョンソン・エンド・ジョンソンの年次報告書の「将来予測に関する記述に関する注意事項(Cautionary Note Regarding Forward-Looking Statements)」、「リスク要因(Item 1A)」のセクション、またはジョンソン・エンド・ジョンソンの四半期報告書(From 10-Q)及び証券取引委員会へのその他の提出書類をご参照ください。
これら書類は、オンライン(www.sec.gov, www.jnj.com)でご覧いただくか、もしくはジョンソン・エンド・ジョンソン宛てにご請求ください。Janssen Research and Development, LLC、Janssen Biotech, Inc.、ヤンセンファーマ株式会社及びジョンソン・エンド・ジョンソンは、新たな情報や今後の事象・変化などに基づいて、将来予測に関する記述を更新する義務を負いません。
【本件に関するお問合せ先】
Johnson & Johnson Innovative Medicine
コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部
E-mail: [email protected]