※本プレスリリースは、6月15日に米国本社にて発表したプレスリリースの抄訳版です。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容及び解釈については英語が優先されます。本資料(英文)については、こちらをご参照ください。
日本国内においてタービー®とテクベイリ®の併用療法は未承認です。予めご注意ください。
世界で初めて承認された二重特異性抗体であるタービー®とテクベイリ®の併用療法が髄外性形質細胞腫を有し、複数の治療歴を有する多発性骨髄腫患者さんにおいて深く持続的な奏効を示す
RedirecTT-1試験 第II相において、GPRC5DとBCMAを同時に標的とした併用療法 奏効率78.9%を達成し、深い奏効を示す
髄外性形質細胞腫を有し、アンメットニーズを抱える患者さんに投与前の調製不要な治療アプローチを提供できる可能性
イタリア・ミラノ(現地時間2025年6月15日) – Johnson & Johnson(以下「J&J」)は、本日、ともに米国食品医薬品局(FDA)に初めて承認された、Gタンパク質共役型受容体ファミリーCグループ5メンバーD (GPRC5D)を標的とする二重特異性抗体であるタービー®(一般名:トアルクエタマブ)と、BCMAを標的とする二重特異性抗体であるテクベイリ®(一般名:テクリスタマブ)の併用療法を評価したRedirecTT-1試験 第II相の最新結果を発表しました。本試験の結果、髄外性形質細胞腫(Extramedullary Disease :EMD)を有し、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38 モノクローナル抗体製剤の3つの標準的な治療歴を有する(Triple class exposed)再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんにおいて、高い奏効率(Overall Response Rate :ORR)及び持続的な奏効が示されました。EMDは、国際骨髄腫作業部会(International Myeloma Working Group:IMWG)の分類に従い、骨組織に隣接しない軟部組織/臓器の形質細胞腫と定義されています1。RedirecTT-1試験は、EMDを有する患者さんを対象とした過去最大規模の臨床試験です。これらのデータは、2025年欧州血液学会(The European Hematology Association: EHA)年次総会において、late-breakingとして口頭発表されました(抄録番号#LB4001)。
EMD は多発性骨髄腫において悪性度の高い病型であり、骨髄腫細胞が軟部組織や臓器などの骨髄外の他の場所へと広がって腫瘍 (形質細胞腫)を形成する疾患です。腫瘍の不均一性をはじめとするこの疾患の複雑性により、EMD を有する患者さんの治療選択肢は限られる場合が多く、予後は不良となる傾向にあることから、現在の標準治療ではORRが低く、早期に再発するのが現状です。EMDを有し、triple class exposedの再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんのORRは平均40%未満で、無増悪生存期間(Progression Free Survival :PFS)の中央値は6カ月未満にとどまっています2。
イスラエル・テルアビブのテルアビブ・スラスキー医療センターの骨髄腫ユニット長であるYael Cohen, M.D.*は、次のように述べています。「タービーとテクベイリの併用療法が再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんにおいて深く持続的な奏効を示したことは、標準治療では効果不十分なことが多いEMD を有する患者さんにとって、本併用療法が有望な治療選択肢である可能性を示しています。GPRC5DとBCMAという2つの抗原を同時に標的とすることにより、標的抗原の免疫回避リスクを低減させ、より高いORRとより深い奏効をもたらす可能性があります。RedirecTT-1試験は、2つの抗原を標的とするこの新しい併用療法が、EMD を有する患者さんに新たな治療選択肢を提供する可能性を示すものです」
RedirecTT-1試験 第II相には、EMDを有し、3つの標準的な治療歴を有する再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さん90例が登録されました。このうち、3クラスの薬剤に抵抗性を示す患者さんは84.4%、5クラスの薬剤に抵抗性を示す患者さんは35.6%、BCMA標的CAR-T細胞療法による治療歴を有する患者さんは20%、二重特異性抗体による治療歴を有する患者さんは8.9%でした3。タービー®とテクベイリ®の併用療法は、78.9%と高いORRを示し(95%信頼区間[CI]:69.0–86.8)、半数以上の患者さん(54.4%)が完全奏効以上を達成しました3。また、BCMA標的CAR-T細胞療法又はFcRH5標的二重特異性抗体による治療歴を有する患者さんにおいても、高いORRが認められました(BCMA標的CAR-T細胞療法:ORR 83.3%;95%信頼区間[CI]58.6-96.4、FcRH5標的二重特異性抗体:ORR 75%;95%信頼区間[CI]34.9-96.8)3。奏効を示した患者さんのうち、データカットオフ時点(追跡期間中央値13.4カ月)で、奏効が持続していた患者さんは66.2%おり、深く持続的な奏効が認められました3。本併用療法の投与を受けた患者さんの1年PFS率は61%でした3。また、本併用療法は持続的な奏効を示し、1年時点における奏効持続率は64.1%(奏効期間の中央値:13.8カ月)、生存率は74.5%で、全生存期間の中央値は未達でした3。
J&J Innovative MedicineのMultiple Myeloma Disease Area Leaderで、Vice PresidentでもあるJordan Schecter, M.D.は、次のように述べています。「EMDを有する多発性骨髄腫の患者さん、特に複数の治療歴を有する患者さんは、さらに有効な治療選択肢を必要としています。世界で初めて承認された当社の二重特異性抗体であるタービーとテクベイリは、再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療に変革をもたらすことが期待されています。RedirecTT-1試験は、併用可能で相補的な作用をもたらす治療法を確立し、さまざまなアプローチで、多発性骨髄腫に対する革新的な治療法を開発するという当社の使命を裏付けるものです」
タービー®とテクベイリ®の併用療法の安全性プロファイルは、各単剤療法の既知の安全性プロファイルと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした3。患者さんには投与頻度を月1回に切り替える選択肢が提供され、この切り替えが忍容性の改善に寄与した可能性があります。タービー®とテクベイリ®の併用療法の有害事象による投与の中止率は低く、2例はタービー®のみ投与を中止しました3。報告されたサイトカイン放出症候群(CRS)及び免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)の多くは低グレードでした。グレード5のAEは10例(11.1%)に認められ、うち5例は感染症、4例は本薬との関連性はないと判断されました 3。重篤な感染症の発現率は、BCMA標的二重特異性抗体による単剤療法における発現率と同低度でした 3。
タービー®について
タービー®(一般名:トアルクエタマブ)は、プロテアソーム阻害剤、免疫調節薬、抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む4種類以上の前治療歴を有する成人の再発又は難治性の多発性骨髄腫に対し、GPRC5Dを標的とする二重特異性抗体として、2023年8月、世界で初めてFDAより承認を取得しました4。FDAによる承認以降、世界で合計4,900人以上の患者さんにタービー®が投与されました。また2023年8月、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤、抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む3種類以上の前治療歴を有し、最後の治療において病勢進行が認められた、成人の再発又は難治性多発性骨髄腫患者さんに対する単剤療法として、欧州委員会(EC)から条件付き販売承認を取得しました5。
タービー®は、T細胞表面に発現するCD3受容体と、多発性骨髄腫における新規の標的で、多発性骨髄腫細胞及び非悪性形質細胞の表面、また皮膚や舌の上皮細胞などの一部の正常組織の表面に高発現するGPRC5Dに結合する二重特異性抗体です。
テクベイリ®について
テクベイリ®(一般名:テクリスタマブ)は、プロテアソーム阻害剤、免疫調節薬、抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む4種類以上の前治療歴を有する、成人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんに対し、投与前の調製不要な皮下注射製剤として、2022年10月にFDAにより承認されました6。FDAによる承認以降、世界で合計15,900人以上の患者さんにテクベイリ®が投与されました。また2022年8月、プロテアソーム阻害剤、免疫調節薬、抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む3種類以上の前治療歴を有し、最後の治療以降に病勢進行が認められた、成人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんに対する単剤療法として、ECから条件付き販売承認を取得しました。2023年8月、ECはテクベイリ®のタイプII変更申請を承認し、6カ月以上にわたり完全奏効(Complete Response :CR)以上を達成した患者さんに対し、投与頻度を1.5 mg/kgの隔週投与(Q2W)に減らす選択肢を提供しました。テクベイリ®は、世界で初めて承認されたT細胞リダイレクト二重特異性抗体であり、革新的な科学的手法により、T細胞表面に発現するCD3受容体及び骨髄腫細胞及び一部の正常なB細胞系細胞の表面に発現するBCMAに結合し、免疫系を活性化します。2024年2月、FDA は、6カ月以上にわたり CR 以上を達成・維持した再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象に、テクベイリ®の1.5 mg/kg の隔週投与(Q2W)への減量について、生物製剤承認一部変更申請(sBLA)を承認しました。
多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は、白血球の一種である形質細胞が骨髄内でがん化し、骨髄腫細胞となり異常に増殖することで生じる、治癒困難な血液がんです7。多発性骨髄腫では、がん化した形質細胞が増殖し、骨髄中の正常細胞が腫瘍細胞に置き換わっていきます8。世界的に見た場合、多発性骨髄腫は血液がんの中では2番目に多いがんであり、依然として治癒困難な疾患です9。2024年には、米国において35,000人以上が新たに多発性骨髄腫と診断され、毎年12,000人以上がこの疾患により亡くなると推定されています10。多発性骨髄腫の5年生存率は59.8%です11。多発性骨髄腫は初期には無症状の場合もありますが、骨折や骨痛、赤血球数の減少、疲労、カルシウム値の上昇や腎障害、感染症などの症状を機に、診断されることがあります12,13。
*Yael Cohen, M.D.は、J&Jに対しコンサルティング、アドバイザー、講演などを行っていますが、メディアに対する活動についての報酬は発生していません。
Johnson & Johnson について
Johnson & Johnsonは、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます。
日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について
Johnson & Johnson Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域―がん、免疫疾患、精神・神経疾患、心・肺疾患における学術および情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。Johnson & Johnson Innovative Medicineは、今後も医療の未来を切り拓き、日本の患者さんに革新的な医薬品をお届けしていきます。
Johnson & Johnson Innovative Medicineに関する詳しい情報はinnovativemedicine.jnj.com/japan/をご覧ください。
将来に関する記述
このプレスリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、製品開発及びタービー®及びテクベイリ®の潜在的なベネフィット及び治療影響に関するものです。お読みの際には、これらの将来の見通しのみに依拠しないよう、ご注意ください。これらの記述は、将来の事象に関する現時点での予測に基づいています。
基礎となる前提が不正確であると判明した場合、あるいは既知もしくは未知のリスクや不確実性が現実化した場合、実際の成果は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの予測や見通しと大きく異なる可能性があります。
リスクと不確実性には、これらに限定されるものではありません。臨床的成功及び規制当局の承認取得の不確実性をはじめとする製品の研究開発に伴う課題や不確実性、商業的成功の不確実性、製造上の問題または遅延、競合他社による特許取得、新製品開発、特許に対する異議申し立て、製品回収又は規制当局による措置につながる可能性、製品の有効性又は安全性に関する懸念、ヘルスケア製品及びサービスの購入者の行動や支出パターンの変化、世界的な医療改革などの適用される法律や規制の変更、医療費抑制への動きなどが含まれますが、これらに限定されるものではありません。
これらのリスクや不確実性、その他要因の詳細と一覧については、最新の会計年度のForm10-Kに基づくジョンソン・エンド・ジョンソンの年次報告書の「将来予測に関する記述に関する注意事項(Cautionary Note Regarding Forward-Looking Statements)」、や「リスク要因(Item 1A)」のセクション、またはジョンソン・エンド・ジョンソンの四半期報告書(From 10-Q)及び証券取引委員会へのその他の提出書類をご参照ください。
これら書類は、オンライン(www.sec.gov, www.jnj.com)でご覧いただくか、もしくはジョンソン・エンド・ジョンソン宛てにご請求ください。ジョンソン・エンド・ジョンソンは、新たな情報や今後の事象・変化などに基づいて、将来予測に関する記述を更新する義務を負いません。
【本件に関するお問合せ先】
Johnson & Johnson Innovative Medicine
コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部
E-mail: [email protected]