※本プレスリリースは、6月12日に米国本社にて発表したプレスリリースの抄訳版です。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容及び解釈については英語が優先されます。本資料(英文)については、こちらをご参照ください。
未治療の慢性リンパ性白血病に対するベネトクラクスによる治療は、国内未承認です。予めご注意ください。
慢性リンパ性白血病患者さんに対する初回治療としてイムブルビカ®(イブルチニブ)+ベネトクラクス併用療法はアカラブルチニブ+ベネトクラクス併用療法と比較して臨床効果が有意に高いことをマッチング調整間接比較により確認
試験間比較の結果、初回治療におけるイブルチニブ+ベネトクラクス固定期間併用療法はアカラブルチニブ+ベネトクラクス併用療法と比較し、微小残存病変陰性率を改善するとともに、無増悪生存期間を延長し、有意な臨床的ベネフィットを示した1
第II相CAPTIVATE試験の長期フォローアップ解析データから慢性リンパ性白血病患者さんに対する初回治療においてイブルチニブ+ベネトクラクス固定期間併用療法の持続した有効性及び安全性プロファイルが示唆された2
ベルギー、ベルセ(2025年6月12日) – Johnson & Johnsonグループ傘下にあるJanssen-Cilag International NV社は本日、未治療の慢性リンパ性白血病(Chronic Lymphocytic Leukemia:CLL)成人患者さんに対する、固定期間(Fixed-duration:FD)療法としてのイムブルビカ®(イブルチニブ)+ベネトクラクス(I+V)併用療法の有効性をアカラブルチニブ+ベネトクラクス(A+V)併用療法と比較したマッチング調整間接比較(MAIC)解析の最新データを発表しました1。このデータは、第30回欧州血液学会(European Hematology Association:EHA)総会のポスターセッションで発表され(ポスターセッションNo. PF587)、I+V併用療法群はA+V併用療法群と比較して、有意に高い有効性を示しました1。治療終了3ヵ月後(EOT+3)の末梢血(PB)及び骨髄(BM)中の微小残存病変(Minimal Residual Disease:MRD)陰性率から、I+V併用療法群では病変消失を達成する可能性がより高いことも示されました1。また、I+V併用療法群では無増悪生存期間(Progression Free Survival:PFS)をA+V併用療法群と比較して有意に延長したことも示されました1。
St James’s Hospital(英国、リーズ)のClinical HaematologyのConsultantであるTalha Munir, M.D.*は次のように述べています。「直接比較試験が存在しない状況においては、臨床医は、信頼できるツールを用いて効果的に治療選択肢を比較し、患者さんにとって可能な限り最適な選択をしなければなりません。EHAで発表したマッチング調整間接比較データは、イブルチニブとベネトクラクスの併用療法が、アカラブルチニブとベネトクラクスの併用療法よりも臨床的に意義ある効果をもたらす可能性があり、治療3ヵ月後の微小残存病変陰性率がより高くなる可能性があることを示唆しています。その結果、患者さんにとっても、治療にあたる医療従事者にとっても、非常に重要なアウトカムである寛解期間及び無増悪生存期間を延長させる可能性が示唆されました」
今回の解析には、第III相GLOW試験(NCT03462719)及び第II相CAPTIVATE試験(NCT02910583)の両試験から、AMPLIFY試験の組入れ基準を満たした患者さんを含め、治療コホートのマッチングと均衡化を行った後に両試験の比較解析を行いました。その結果、I+V併用療法群では、増悪又は死亡のリスクがA+V併用療法群と比較して有意に47%低下したことが示唆されました(ハザード比[HR]:0.53、95%信頼区間[CI]:0.33-0.85、p=0.0085)1,3,4,5。また、この解析結果から、I+V併用療法群では、EOT+3時点でMRD陰性を達成している可能性が、PBでA+V併用療法群のほぼ2倍(95% CI:1.47-2.41、p<0.0001)、BMで2.4倍(95% CI:1.78-3.12、p<0.0001)であることも示唆されました1。GLOW試験及びCAPTIVATE試験のFDコホートは、追跡調査期間の中央値が約4.5年であった個々の患者さんのデータに基づくもので、一方、A+V併用療法群には、追跡調査期間の中央値が約3.4年であったAMPLIFY試験の集積データが用いられました1。
CAPTIVATE試験の最終解析結果
第II相CAPTIVATE試験のデータから得られた長期追跡調査結果は、2025年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会にてポスターセッションとして発表され(ポスターセッションNo. 219)、EHA 2025でもアンコール口頭プレゼンテーションとして発表されています(口頭プレゼンテーションNo. S156)2。
これらデータの解析から、フロントライン治療におけるI+V併用療法の持続的な臨床効果が明らかになりました2。第II相CAPTIVATE試験のI+V固定期間併用療法の評価のための併合解析の結果、I+V固定期間併用療法は、MRDコホートと比較し、臨床的に意義あるPFS及び全生存期間(Overall Survival:OS)を示しました2。68.9ヵ月間(中央値)の追跡調査後において、5.5年PFS率及びOS率は、治療を受けたすべての患者さんで、それぞれ66%(95% CI:58-72)及び97%(95% CI:93-99)でした2。また、EOT時点でPBのMRD陰性を達成していた患者さんの5.5年PFS率は71%(95% CI:60-80)でした2。
さらに、I+V固定期間併用療法による再治療開始からの1年PFS率及びOS率はいずれも100%で、イブルチニブ単剤での再治療開始からの2年PFS率及びOS率はそれぞれ91%及び96%でした2。イブルチニブベースの再治療において、前回の追跡調査以降新たな安全性シグナルは認められず、主な有害事象はCOVID-19、下痢、高血圧でした2。全体的な併合CAPTIVATE集団において、5.5年間の追跡調査後に増悪が認められた患者さんの割合は32%(202例中64例)でした2。検体が得られた患者さん53人のうち、いずれの患者さんにも、BTK又はPLCG2の獲得耐性に関連する変異は認められませんでした2。
Johnson & Johnson Innovative MedicineのEMEA Therapeutic Area Head HaematologyであるEster in’t Groenは次のように述べています。「CAPTIVATE試験の最終解析により、イブルチニブが、これまでの報告と一貫したMRD陰性や、前回の治療終了から再発後の治療開始までの期間(Treatment-Free Interval)の延長をもたらし、忍容性良好な安全性プロファイルを示すことで、慢性リンパ性白血病における治療を新たなステージへと押し上げていることが明らかになりました。経口固定期間併用療法の中で、最も長期にわたって追跡調査が実施されているイブルチニブにより、患者さんや臨床医が標的療法に期待する新たな基準が設けられようとしています。当社は、血液がんにおけるイノベーションを推し進め、がん治療のアウトカムを向上させるよう引き続き尽力して参ります」
Johnson & Johnson Innovative MedicineのVice Presidentであり、Lymphoma & Leukemia Disease Area Stronghold LeaderでもあるJessica Vermeulenは、次のように述べています。「EHAで発表された最新のデータは、慢性リンパ性白血病のフロントライン治療における標準治療薬として最も研究開発が盛んなブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬であるイブルチニブに関するエビデンスを更に強固なものにしています。私たちは、今後も患者さんのためにより長期の生存期間だけでなく、無治療寛解を実現させるための選択肢を提供していきたいと考えています。2014年にイブルチニブが欧州で承認されて以来、これまで多くの患者さんに貢献してきたことを、私たちは誇りに思います」
MAIC解析について
この解析の目的は、第III相GLOW(NCT03462719)試験及び第II相CAPTIVATE(NCT02910583)試験のI+V固定期間併用療法群のPFS及びMRD陰性に関するデータを、第III相AMPLIFY(NCT03836261)試験のデータと比較することでした1。各種のブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬(BTKi)とB細胞リンパ腫2(Bcl-2)阻害薬による併用療法について検討した前向き直接比較試験が存在しないことから、本試験では、有効性を比較する上でのインサイトを得るため、マッチング調整間接比較(MAIC)を用いました1。GLOW試験及びCAPTIVATE試験のI+V固定期間併用療法群の個々の患者さんのデータを併合し、AMPLIFY試験のA+V併用療法群について公表されているIntent-to-Treat(ITT)の集積データと比較しました1,3,4,5。MAICは、Signorovitchらが公表している方法と英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインに従って実施しました1,7。AMPLIFY試験の組入れ基準を満たさなかった患者さんはI+V併用療法の併合コホートから除外してI+V併用療法の解析対象集団を構成しました1。その後、残りのI+V併用療法例を再加重して、併合I+V併用療法コホートの平均的な患者背景がAMPLIFY試験のA+V併用療法例と対応するようにしました1。その後、I+V併用療法の再加重アウトカムを、間接治療比較により、A+V併用療法の報告アウトカムと比較しました1。相対リスク(RR)及びハザード比(HR)とそれらの95%信頼区間を用いて相対効果を定量化しました1。
MAICには、説明できない潜在的なバイアス要因が存在するため、データを解釈する際に考慮する必要があります。具体的には、この比較では、増悪の測定がGLOW試験及びCAPTIVATE試験でより厳格で、増悪が疑われるかどうかに関わらずCTまたはMRIを行わなければならなかったほか、フォローアップ解析期間(中央値)がI+V併用療法群でより長期に及んでいました1。このいずれもが、PFSの結果に、A+V併用療法にとって有利なバイアスをもたらした可能性があります1。また、AMPLIFY試験ではマルチカラーフローサイトメトリーの使用が報告されましたが、色の数に関する詳細がなかったため、I+V併用療法の試験で用いられている8色アッセイで比較可能としました1。あらゆる非無作為化比較の場合と同様に、臨床的に重要な予後に関する患者背景で報告されていないものがある可能性があり、これについても説明することはできません1。例えば、Cumulative Illness Rating ScaleスコアのデータがCAPTIVATE試験では収集されなかったため、マッチングに用いることができませんでした1。
CAPTIVATE試験について
第II相CAPTIVATE試験(NCT02910583)では、前治療歴のない70歳以上の慢性リンパ性白血病(CLL)患者さん(高リスク病変を有する患者さんも含まれます)からなる、年齢の併合中央値が60歳の2つのコホート(微小残存病変[MRD]に基づくI+V治療後のプラセボ投与コホート[43例]と固定期間併用療法コホート[159例、年齢中央値])を対象に評価を実施しました2,4,8。固定期間併用療法群の患者さんは、導入期にイブルチニブによる治療を3サイクル受けた後、I+V併用療法(経口イブルチニブ[420 mg/日]+経口ベネトクラクス[5週間かけて徐々に400 mg/日まで増量])を12サイクル受け、主要評価項目は完全奏効率でした4。MRDコホートでは、導入期にイブルチニブによる治療を3サイクル、その後にI+V併用療法を12サイクル行った後、MRD陰性が確認された患者さんを、二重盲検下のプラセボ群またはイブルチニブ継続群に無作為に割り付けました4。主要評価項目は1年無病生存期間でした4。
GLOW試験について
GLOW試験(NCT03462719)は、CLL成人患者さんを対象に、フロントライン治療におけるI+V固定期間併用療法の有効性及び安全性をクロラムブシル+オビヌツズマブ併用療法と比較する無作為化、非盲検、第III相試験です。組入れ基準は、年齢が(a)65歳以上または(b)18~64歳であること、Cumulative Illness Rating Scaleスコアが6超またはクレアチニンクリアランスが70 mL/min未満であること、International Workshop on CLLの基準に準拠した治療を要する活動性病変を有することでした3。
イブルチニブについて
イブルチニブは、ヤンセン・バイオテック社とアッヴィ社の傘下にあるファーマサイクリックス社が共同開発・販売する、1日1回の経口剤です9。イブルチニブは、特定のがん細胞も含め、正常及び異常なB細胞が増殖・拡散するために必要とするブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)というタンパク質の働きを阻害します10。BTKを阻害することにより、イブルチニブは異常なB細胞を生存環境から切り離し、その増殖を抑制します11。
イブルチニブは100ヵ国以上で承認されており、世界中の325,000人以上の患者さんに使用されてきました12。第III相試験18試験を含め、50件以上の企業主導の臨床試験が行われており、11年以上にわたりイブルチニブの有効性と安全性を評価しています10,13。2021年10月に、イブルチニブは、世界保健機関の必須医薬品モデルリスト(EML)に追加されました。このリストには、世界保健上の優先事項に対処しており、すべての人にとって入手可能で安価であるべき医薬品が収載されています14。
イブルチニブは、2014年に初めて欧州委員会で承認されました。これまでに承認されている適応症は次のとおりです10。
- 前治療歴のない成人のCLLに対する単剤療法又はリツキシマブ、オビヌツズマブ、ベネトクラクスのいずれかとの併用療法
- 1ライン以上の前治療歴のある成人のCLLに対する単剤療法又はベンダムスチン及びリツキシマブとの併用療法
- 成人の再発又は難治性マントル細胞リンパ腫に対する単剤療法
- 1ライン以上の前治療歴のある、成人の原発性マクログロブリン血症に対する単剤療法、又は化学免疫療法不適応例に対する一次治療としてのリツキシマブとの併用療法
全有害事象一覧ならびに用法・用量、禁忌及びその他のイブルチニブ使用上の注意に関する情報については、製品概要をご参照ください。
慢性リンパ性白血病について
CLLは、一般的に進行の遅い白血球のがんです15。欧州におけるCLLの年間発症率は100,000人あたり約4.92症例で、男性では女性の約1.5倍多く見られます(2000年から2002年の間に診断された方)16。CLLは高齢者で多く発症し、診断時の年齢の中央値は72歳です17。患者さんの予後はこの数十年で大きく改善したものの、増悪を繰り返し、継続的な治療が必要であることが特徴です18。再発したり、治療に対する抵抗性を示すことがあり、多くの場合、患者さんは複数ラインの治療を受けることになります19。
Johnson & Johnson について
Johnson & Johnsonは、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます。
日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について
Johnson & Johnson Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域―がん、免疫疾患、精神・神経疾患、心・肺疾患における学術および情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。Johnson & Johnson Innovative Medicineは、今後も医療の未来を切り拓き、日本の患者さんに革新的な医薬品をお届けしていきます。
Johnson & Johnson Innovative Medicineに関する詳しい情報はinnovativemedicine.jnj.com/japan/をご覧ください。
将来に関する記述
このプレスリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、製品開発及びイムブルビカ®の潜在的なベネフィット及び治療影響に関するものです。お読みの際には、これらの将来の見通しのみに依拠しないよう、ご注意ください。これらの記述は、将来の事象に関する現時点での予測に基づいています。
基礎となる前提が不正確であると判明した場合、あるいは既知もしくは未知のリスクや不確実性が現実化した場合、実際の成果は、Janssen Research & Development, LLC及び/又はジョンソン・エンド・ジョンソンの予測や見通しと大きく異なる可能性があります。
リスクと不確実性には、これらに限定されるものではありません。臨床的成功及び規制当局の承認取得の不確実性をはじめとする製品の研究開発に伴う課題や不確実性、商業的成功の不確実性、製造上の問題または遅延、競合他社による特許取得、新製品開発、特許に対する異議申し立て、製品回収又は規制当局による措置につながる可能性、製品の有効性又は安全性に関する懸念、ヘルスケア製品及びサービスの購入者の行動や支出パターンの変化、世界的な医療改革などの適用される法律や規制の変更、医療費抑制への動きなどが含まれますが、これらに限定されるものではありません。
これらのリスクや不確実性、その他要因の詳細と一覧については、最新のForm10-Kに基づくジョンソン・エンド・ジョンソンの年次報告書の「将来予測に関する記述に関する注意事項(Cautionary Note Regarding Forward-Looking Statements)」、や「リスク要因(Item 1A)」のセクション、またはジョンソン・エンド・ジョンソンの四半期報告書(From 10-Q)及び証券取引委員会へのその他の提出書類をご参照ください。
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