※本プレスリリースは、6月23日に米国本社にて発表したプレスリリースの抄訳版です。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容及び解釈については英語が優先されます。本資料(英文)については、こちらをご参照ください。
ニポカリマブは、現在日本国内においては未承認です。予めご注意ください。
新たに発表された間接比較(ITC)評価法にて、IMAAVYTM(ニポカリマブ)は全身型重症筋無力症の治療薬として既に承認されている他のFcRn阻害剤と比べ、24週間にわたる複数の時点で、優れた持続的症状コントロールを示した
長期的な結果を活用し、公表されている全ての第III相試験データを間接比較し全身型重症筋無力症をはじめとする慢性自己抗体疾患における、一貫した持続的な症状コントロールの重要性を示す
FcRn阻害剤であるIMAAVYは、抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体及び抗筋特異的キナーゼ(MuSK)抗体陽性の成人及び12歳以上の小児全身型重症筋無力症を含む、広範な全身型重症筋無力症を対象として、今年初めに米国食品医薬品局の承認を取得
ペンシルバニア州スプリングハウス、2025年6月23日– Johnson & Johnson(以下「J&J」)は、成人の全身型重症筋無力症(Generalized Myasthenia Gravis:gMG)を対象として、IMAAVY™ (一般名:ニポカリマブ)と既に承認された他のFcRn阻害剤との間接比較(ITC)に基づくデータを発表しました。解析の結果、IMAAVYは、一貫した持続的な症状コントロールを示しました。このデータは、フィンランドのヘルシンキで開催された欧州神経学会(the European Academy of Neurology:EAN)の2025年年次総会で、当社が発表した11件の演題の1つです。
検証的第III相Vivacity-MG3 試験のデータを含むITCに基づくと、IMAAVYは、既に公開されている他のFcRn阻害剤の第III相試験データと比較し、第1週に同低度の症状緩和を示すとともに、最長24週間bの複数の時点で、MG-ADLa スコアにおいて優れた又は統計学的に有意な改善を示し、一貫した持続的症状コントロールが確認されました。またこれらの結果は、複数のITCの手法において、一貫していましたc。
- 共通した対照薬を設けない集団で調整したITCでは、一方の対照薬については第8~24週d 、他方の対照薬については第10~14週d において、IMAAVYは他のFcRn阻害剤と比べてMG-ADLスコアの平均変化量の有意な改善を示しました1。
- プラセボ調整による間接比較では、IMAAVYは、一方の対照薬との比較において、第8週e 及び第18~24週e で、他方の対照薬との比較では第10~14週e に数値的により高い有効性を示し、第10週f 及び第12週f に統計学な有意差を示しました1。
バーミンガム大学(英国)免疫学・免疫療法学部のSaiju Jacob教授(M.D.)は、次のように述べています f。「今回の解析により、母集団調整による有益な比較データが提供され、特定のgMG治療に対するIMAAVYの投与を裏づける新たなエビデンスとなりました。IMAAVYがMG-ADLスコア平均変化量において示した有意な改善は、gMGなどの慢性疾患における持続的症状コントロールが、今でも必要であることを示す新たなエビデンスと言えます」
サイクル投与に基づく治療は、次の投薬を開始するにあたり臨床評価を行い、再発していることを確認することが必要です。一方、IMAAVYは2週間に1回投与であるため、患者さんと医療従事者が治療予定を立てやすくなる可能性があります2。今回の解析は、IMAAVYによる治療により、患者さんの状態が予測可能になるであろうこと、またgMGを治療する際の臨床的な意思決定に役立つ可能性を示唆しています。
Johnson & Johnson Innovative Medicineの自己抗体ポートフォリオ担当バイスプレジデント兼 母体・胎児免疫疾患領域リーダーであるKatie Abouzahr, M.D.は、次のように述べています。「gMG患者さんの治療目標は、一時的な症状の軽減ではなく、持続的に症状をコントロールすることだと考えています。今回の解析からは、IMAAVYのプロフィールについて新たなインサイトが得られ、12歳以上のgMG患者さんにとってIMAAVYが新たな治療選択肢となる可能性が示されました。私たちは、IMAAVYがもたらすであろうベネフィットについて引き続き研究し、世界の規制当局と連携を続けながら、日常生活に支障を来すgMGのような自己抗体疾患の患者さんの支援に取り組んで参ります」
ITCは、直接比較試験によるエビデンスがない、あるいは限られている場合に、規制当局、医療技術評価機関、医療ガイドライン委員会が、治療選択肢を比較評価するために活用しています3。しかし間接比較は、直接比較臨床試験と置き換えられるものではなく、同等のものとみなすことはできません3。本分析では、固定化されていない集団で調整したBucher法による ITC、及びプラセボを固定化したBucher法によるITCを使用しました3。固定化されていない集団で調整した間接比較では、母集団の差異を調整するため、IMAAVYの患者個人レベルのデータと既に承認されたFcRn阻害剤の集団レベルのデータを用いています3 。プラセボを固定化するBucher法による間接比較は、プラセボなどの共通対照薬を介していくつかの治療薬を評価し、異なる試験から得た集団レベルのデータを使用します3。
IMAAVYは、抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体又は抗筋特異的キナーゼ(MuSK)抗体陽性の成人及び12歳以上の小児gMG患者さんを対象として米国で承認されています。当社は、gMG治療薬としてのニポカリマブの承認取得のため、2024年9月に欧州医薬品庁(EMA)にも販売承認申請を行いました。
用語の説明:
a. MG-ADL (重症筋無力症―日常生活動作)は、日常生活動作に影響を及ぼす症状を患者さんの報告に基づいて迅速に臨床評価する指標です。合計スコアは0~24で、スコアが高いほど症状の重症度が高いことを示します4。
b. FcRn害剤を直接比較したデータはなく、直接比較試験のデータなしにFcRn阻害剤については、いかなる優越性も主張できません。
c. ITC では、複数のFcRn阻害剤間の安全性の評価は実施していません。
d. 固定化されていない集団で調整した間接比較において、IMAAVY と一方の対照薬の第8週における平均差は -2.36 [(95% 信頼区間 [CI]: -3.56,-1.16); P=0.001]であり、第24週までこの傾向が続きました(p<0.05)。他方の対照薬については、ある用量におけるIMAAVYとの第10週の平均差は –2.38 [(95% CI: -3.57, -1.18); P<0.001]、別の用量では-3.14 [(95% CI: -4.15, -2.14); P<0.001]であり、第14週までこの傾向が続きました (P<0.001)。
e. プラセボを固定化した間接比較において、MG-ADLスコアのベースラインからの変化量(CFB)は、一方の対照薬と比べて第8週で -1.24 (95% CI: -2.78, 0.30)、第18週で -1.13 (95% CI: -2.77, 0.50)、第20週で -1.44 (95% CI: -3.21, -0.33)、第22週で -1.79 (95%CI: -4.16, 0.59)、第24週で -2.89 (95% CI: -5.67, -0.12)となりました。
f. プラセボを固定化した間接比較において、IMAAVY投与群は、第10週 (平均CFB=-1.19, 95% CI: -2.75, 0.37)、第12週 (mean CFB= -1.41, 95% CI: -2.94, 0.12)、第14週 (mean CFB= -1.01, 95% CI: -2.51, 0.49)にMG-ADLスコアのCFBが一方の対照薬投与群を上回りました。
- IMAAVY投与群と別の対照薬投与群の比較においても、第10週 (平均 CFB= -2.16 [95% CI: -3.58, -0.73])、第12週 (平均 CFB= -1.99 [95% CI: -3.53, -0.45])、第14週 (平均 CFB= -1.12 [95% CI: -2.55, 0.31])に同様の傾向が認められました。
g. Saiju Jacob, M.D.は、J&Jのコンサルタントを務め、アドバイスや講演を行っていますが、メディア関連の活動に関する報酬は発生していません。
全身型重症筋無力症 (gMG)について
重症筋無力症 (MG) は、免疫系が誤って各種の抗体(抗アセチルコリン受容体[AChR]抗体、抗筋特異的キナーゼ[MuSK]抗体など)を産生する自己抗体疾患です。神経筋接合部のタンパク質を標的として、正常な神経筋シグナル伝達を遮断又は障害することで、筋収縮を障害又は妨げます5,6,7。MGは世界で70万人の患者さんがいると推定されています5。MGは男女を問わず、あらゆる年齢、人種、民族において発症しますが、若い女性と高齢の男性に最も多くみられます8。MGと診断された人の中では、約半分が女性で、そのうち、5人に1人は妊娠可能な年齢でもあります9,10,11。MG新規症例の約10~15%が青年期(12~17歳)に診断されています12,13,14。若年性MG患者さんは、男性よりも女性の方が多く、米国の小児MG患者さんの65%以上が女性です15,16,17。
初発症状は眼症状であることが多いものの、MG患者さんの85%が、全身型重症筋無力症(gMG)です。gMGの主な症状は、重度の骨格筋の筋力低下、発話困難、嚥下困難です18,19,20,21,22。米国には約100,000人のgMG患者さんがいると推定されています23。小児患者さんのような脆弱なgMG集団は、治療の選択肢がより限られています24。
間接比較(ITC)について
間接比較(ITCs)を実施して第1週における有効性を比較しました。そして一貫した持続的症状コントロールに関しては、一方の対照薬は最長24週間(最大3サイクル)において、他方の対照薬については最長14週間(最終受診データを報告)の複数の時点で比較を行いました1。この解析に用いたデータは、gMGの治療薬として承認されたIMAAVY及び対照薬となる FcRn阻害剤(エフガルチギモド及びロザノリキシズマブ)の登録試験に基づく、既に公表されたデータから得られたものです1。FcRn阻害剤間における治験デザインと標準治療の相違により、複数の間接比較法を採用する必要がありました1。そのため、固定化していない集団で調整した間接比較(実薬群のみを用いて試験間における患者の相違を調整)及びプラセボを固定化したBucher 法による間接比較(実薬群とプラセボ群双方を含む)を実施しました。すべての比較において、差は0未満であり、ニポカリマブが優位でした1。このITCは、国際的な医療技術評価機関、学術誌審査委員会、規制当局が求めるすべての基準と要件を満たすものであり、Janssen Research & Development, LLCが資金を提供しています1。
第III相 VIVACITY-MG3 試験について
第III相Vivacity-MG3試験(NCT04951622)は、アンメットニーズの高い予測不可能なgMGを対象に、継続投与によるニポカリマブの持続的な有効性と安全性を評価する試験です。現在の標準治療で十分な効果が得られない(MG-ADL ≥6)、抗体陽性又は抗体陰性の成人gMG患者さんを対象とし、199例(うち153例が抗体陽性者)が、24週間の二重盲検プラセボ対照試験に参加しました25,26。患者さんは、現在の標準治療に加えてニポカリマブの静脈内投与(30 mg/kg負荷投与後、隔週で15 mg/kg)又は現在の標準治療に加えてプラセボの投与に、1対1の割合で無作為に割り付けられました25,。ベースライン時の人口統計学的特性は、治療群間で均衡していました(ニポカリマブ群77例、プラセボ群76例)25。主要評価項目は、両治療群での、第22週、第23週、第24週にわたるベースラインからのMG-ADLスコアの平均変化量でした25。重要な副次評価項目としては、QMGスコアの変化量が含まれました。長期的な安全性と有効性は、現在進行中の非盲検継続試験(OLE)でさらに評価されています26。
IMAAVY™ (ニポカリマブ)について
IMAAVYは、現在開発中のモノクローナル抗体であり、高い親和性で結合してFcRnを阻害し、gMGを引き起こす循環免疫グロブリンG(IgG)抗体の濃度を下げつつ、他の適応免疫系及び自然免疫系にほとんど影響を与えないよう設計されています。 IMAAVYは現在、抗AChR 抗体又は抗MuSK抗体陽性の成人及び12歳以上の小児を対象とするgMG治療薬として米国で承認されています27。
「希少な自己抗体疾患」、母体の同種抗体が介在する「母体胎児疾患」及び「リウマチ性疾患」の3つの重要な自己抗体疾患を対象に、ニポカリマブの研究開発が行われています28,29,30,31,32,33,34,35,36。現在開発中のこのモノクローナル抗体は、高い親和性で結合してFcRnを阻害して循環免疫グロブリンG(IgG)抗体及び同種抗体の濃度を下げつつ、他の適応免疫系及び自然免疫系にほとんど影響を与えないよう設計されています。
ニポカリマブは、米国食品医薬品局(FDA)及び欧州医薬品庁(EMA)より、以下の重要な指定を受けています。
- 2019年7月に胎児新生児溶血性疾患(HDFN)及び温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、2021年12月に全身型重症筋無力症(gMG)、2024年3月に胎児・新生児同種免疫性血小板減少症(FNAIT)、2025年3月にシェーグレン症候群(SjD)に対するFast Track指定をFDAより受けました。
- 2019年12月にwAIHA、2020年6月にHDFN、2021年2月にgMG、2021年10月に慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、2023年12月にFNAITに対するオーファンドラッグ指定をFDAより受けました。
- 2024年2月にHDFN、2024年11月にシェーグレン症候群に対するブレークスルーセラピー指定をFDAより受けました。
- 2024年第4四半期に、FDAより、gMG治療薬として優先審査の対象に指定されました。
- 2019年10月にHDFN、2025年4月にFNAITに対するオーファンドラッグ指定をEMAより受けました。
IMAAVY™ は、抗アセチルコリン受容体(AChR) 抗体又は抗筋特異的キナーゼ(MuSK)抗体陽性の成人及び12歳以上の小児を対象として全身型重症筋無力症の治療に使われる医療用医薬品薬です。
12歳未満の小児におけるIMAAVY™ の安全性と有効性は確認されていません。
Johnson & Johnson について
Johnson & Johnsonは、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます。
日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について
Johnson & Johnson Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域―がん、免疫疾患、精神・神経疾患、心・肺疾患における学術および情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。Johnson & Johnson Innovative Medicineは、今後も医療の未来を切り拓き、日本の患者さんに革新的な医薬品をお届けしていきます。
Johnson & Johnson Innovative Medicineに関する詳しい情報はinnovativemedicine.jnj.com/japan/をご覧ください。
将来に関する記述
このプレスリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、製品開発及びIMAAVY™の潜在的なベネフィット及び治療影響に関するものです。お読みの際には、これらの将来の見通しのみに依拠しないよう、ご注意ください。これらの記述は、将来の事象に関する現時点での予測に基づいています。
基礎となる前提が不正確であると判明した場合、あるいは既知もしくは未知のリスクや不確実性が現実化した場合、実際の成果は、Janssen Research & Development, LLC、Janssen Biotech, Inc.及び/又はジョンソン・エンド・ジョンソンの予測や見通しと大きく異なる可能性があります。
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