ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:クリス・フウリガン、以下「ヤンセン」)は本日、ヒト型抗CD38モノクローナル抗体『ダラザレックス®点滴静注100mg』および『ダラザレックス®点滴静注400mg』(以下、ダラザレックス®、一般名:ダラツムマブ(遺伝子組換え))について、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に対するダラザレックス®とカルフィルゾミブ、デキサメタゾンとの併用(DCd)療法、並びに用法及び用量に本剤の初回分割投与を追加する一変申請について承認を取得しました。
今回の承認は、国際第Ⅲ相臨床試験(20160275試験、CANDOR)1に基づくものです。この試験では再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象にダラザレックス®をカルフィルゾミブおよびデキサメタゾンと併用で投与する群(DCd群)と、カルフィルゾミブとデキサメタゾンを投与する群(Cd群)に無作為に割り付けました。前者の群では、疾病の進行および死に至るリスクが、後者の群と比較して37%減少し2,3, 、ダラザレックス®のCd療法への上乗せ効果が確認されました。この結果は、レイトブレイキング・アブストラクト(最新報告)として、同疾患領域において権威のある米国血液学会(ASH)の2019年会議にて発表され、同年に医学雑誌The Lancetに掲載されました3,4, 。今回の承認は、カルフィルゾミブとの併用の抗CD38抗体療法としては、初めてかつ唯一の治療法となります。
主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、DCd群では未到達(95%信頼区間:推定不能〜推定不能)、Cd群で15.8ヵ月(95%信頼区間:12.1〜推定不能)となり、DCd群で統計学的に有意な延長を示しました。[ハザード比: 0.630、95%信頼区間: 0.464〜0.854、p=0.0014(層別log-rank検定*)p値 有意水準0.025(片側)]
* 層別因子: スクリーニング時のISSの病期、前治療数及びPI前治療歴の有無
副次評価項目における全奏効率(ORR)はDCd群84.3%に対しCd群74.7%、完全奏効(CR)以上を達成した割合は、DCd群28.5%に対し、Cd群10.4%であり、12ヵ月時点の微小残存病変(MRD)陰性(10-5閾値)CR率は、DCd群12.5%、Cd群1.3%を示しました。
本剤、カルフィルゾミブ又はデキサメタゾンのいずれかと関連性がある有害事象は308例中260例(84.4%)に発現しました。主な事象は、血小板減少症102例(33.1%)、高血圧76例(24.7%)、貧血56例(18.2%)等が認められました。
ヤンセンの研究開発本部 本部長アマナス・シャーマは次のように述べています。「多発性骨髄腫においては、レナリドミドを取り入れた治療法など、免疫調節に基づく治療の後に再発する患者さんが多くいます。今回の承認により、1回目の再発時というから早期からダラザレックス®とカルフィルゾミブ、デキサメタゾンとの併用(DCd)療法を使用することが可能になります。この承認が重要な医療ニーズを満たし、進行のない生存期間を有意に延ばすという効果をもたらすことが期待されています。」
また、ヤンセンの代表取締役社長であるクリス・フウリガンは次のように述べています。「ダラザレックス®は、5年前に世界で初めて承認されて以来、世界中の多発性骨髄腫の患者さんにとって重要な治療の選択肢となっています。私たちは、CANDOR試験を始め、臨床研究の成果をより良い治療法として患者さんに届けるために、日々努力を続けています。今回、米国での承認からわずか3ヶ月後に日本でも承認されたことを大変嬉しく思います。日本の患者さんに革新的な治療の選択肢を提供することを目指す私たちにとって、重要なマイルストーンとなりました。」
日本国内においてダラザレックス®は、再発又は難治性の多発性骨髄腫に対し、2017年9月にレナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法(DLd)、並びにボルテゾミブおよびデキサメタゾンとの併用療法(DBd)が承認されています。また、未治療の多発性骨髄腫に対しては、2019年8月にボルテゾミブ、メルファランおよびプレドニゾロンとの併用療法(DMPB)、2019年12月にはレナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法(DLd)が承認されています。
CANDOR試験について3
CANDOR試験は、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者466名を対象とする第Ⅲ相無作為化、非盲検、多施設共同試験です。被験者は、ダラザレックス®をカルフィルゾミブおよびデキサメタゾンと併用で投与する群(DCd群)と、カルフィルゾミブとデキサメタゾンを投与する群(Cd群)に無作為に割り付けられました。
ダラザレックス®について
ダラザレックス®は、CD38を標的とするモノクローナル抗体です。病期に関わらず多発性骨髄腫の表面に過剰発現するシグナル伝達分子のCD38に結合することによって機能します 。ダラザレックス®は、未治療、再発などの対象患者において、包括的な臨床開発プログラムを通じて多発性骨髄腫治療における様々な可能性を評価しています6,7,8,9,10,11,12,13。くすぶり型などのCD38が発現する他のタイプの多発性骨髄腫における可能性を評価するなど、進行中または計画中の試験があります14,15。
2012年8月、米・ヤンセンバイオテック社は、デンマーク・Genmab社とグローバルライセンス・開発契約を締結し、ダラザレックス®の開発・製造および商業化するための独占ライセンスを同社から付与されています。日本における製造販売元は、ヤンセンファーマ株式会社です。
多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は、形質細胞が骨髄で異常に増殖することで生じます16,17。形質細胞が増殖し、がん化して骨髄腫細胞になり、多発性骨髄腫を発症します13,14。2019年の多発性骨髄腫の罹患数予測は7,800人で、死亡数予測は4,500人と推計されています18。日本国内における総患者数は約25,000人と報告されています19。多発性骨髄腫は無症状の場合もありますが、骨痛や骨折、息切れ・倦怠感、免疫機能の低下、腎障害や血液障害などにより受診し診断されることがあります20。
ヤンセンについて
ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちはがん、免疫疾患、精神・神経疾患、ワクチン・感染症、代謝・循環器疾患、肺高血圧症の分野で貢献ができると考え、注力しています。 ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。
www.facebook.com/JanssenJapan/をフォローしてください。
ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です。
【本件に関するお問合せ先】
ヤンセンファーマ株式会社
コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部
E-mail: [email protected] TEL:03-4411-5046 FAX: 03-4411-5050