※本プレスリリースは、2023年5月31日~6月3日に開催された欧州リウマチ学会(EULAR 2023)において、5月31日にヤンセン米国本社が発表したプレスリリースの抄訳版です。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先します。本資料(英文)については、こちらをご参照ください。
第Ⅲ相DISCOVER試験の事後解析データも発表され、患者報告アウトカムに対する共有意思決定(Shared Decision-Making, SDM)の重要性について、臨床的な知見が報告された
ペンシルベニア州スプリングハウス(米国時間2023年5月31日) - 米国ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門であるヤンセンファーマ(以下、ヤンセン)は31日、第IIIb相COSMOS試験の新たなデータを発表しました。本試験により、2剤以下のTNFα阻害薬に対して十分な効果が得られなかった活動性関節症性乾癬の成人患者さんにおいて、トレムフィア®(一般名:グセルクマブ)の投与により、48週時まで、最小疾患活動性 (MDA)aの全ての項目において持続的な改善をもたらすことが示されました1。また第III相DISCOVER-1 試験および DISCOVER-2b試験の事後解析では、トレムフィア®は、特定されたすべての決定因子の速やかで持続的な改善と関連づけられることが示されました2。この解析では、患者報告による疼痛、健康関連QOLの身体的側面、倦怠感などにおいて、患者さんと医師間での全般的評価 (GA) の差に影響を及ぼす因子も特定されています2。トレムフィア®は、成人の活動性関節症性乾癬患者さんの治療薬として承認された、インターロイキン23(IL-23)を選択的に阻害する初にして唯一の治療薬です 。これらの解析結果は、2023年5月31日~6月3日にミラノ(イタリア)で開催された2023年欧州リウマチ学会(EULAR)でヤンセンが発表した41の演題に含まれています。
これまでの試験では、生物学的製剤による治療を受けた活動性関節症性乾癬患者さんのうち、持続的なMDAの改善を達成できるのは、一部であることが概ね示されていました1。しかし、第IIIb相COSMOS試験の事後解析では、トレムフィア®は、2剤以下のTNFα阻害薬で十分な効果が得られなかった活動性関節症性乾癬の成人患者さん189人において、48週時までMDA全ての項目において、ベースラインからの持続的な改善を示しました1。
- 24週時と48週時の奏効率は、乾癬面積および重症度指標(PASI)c (それぞれ66.8/81.5%)、リーズ腱付着部炎指数(LEI)d (74.5/79.8%)、腫張関節数 (SJC)e (46.2/63.0%)、患者報告によるGA (24.5/39.9%)、健康評価質問票 – 機能障害指数 (HAQ-DI)f(26.1/37.0%)、患者報告による疼痛 (14.7/30.6%) 、圧痛関節数(TJC)e (14.7/28.3%)でした1。
- 医師が報告する指標 (LEI、PASI、SJC) は、患者報告による指標 (GA、HAQ-DI、疼痛、TJC)より速やかに改善が達成されました1。
オックスフォード大学のシニアクリニカルリサーチフェローであるLaura Coates(M.D.、Ph.D.)は、次のように述べていますg。「患者報告による症状の評価は、我々の研究に不可欠であり、アンメットニーズに対処し、アウトカムの改善が期待できる治療薬の提供に貢献します。今回の結果は、医療従事者が関節症性乾癬患者さんの症状をより理解し、日常生活に支障をきたすような症状を標的とした個別化された治療計画を立て、最終的には関節症性乾癬患者さんの生活の質の向上を目指す上でも役立つものです」
第III相試験DISCOVER-1およびDISCOVER-2試験は、患者報告によるGAと医師によるGAとの差を明らかにする一方、これらの事後解析により患者さんと医師による共有意思決定と率直な対話を重視する関節症性乾癬治療における個別化アプローチの重要性が改めて裏づけられました2。そしてこれらの結果から、大半の項目で両者のスコアは一致したものの、患者さんが疼痛、倦怠感、身体的健康を医師より重視していることが示されました2。トレムフィア®は、患者報告による疼痛、健康関連QOLの身体的側面、倦怠感など、医師より患者さんのGAスコアの方が高い項目を含め、特定されたすべての決定因子において、速やかで持続的な改善と関連づけられました2。
- ベースラインでは、大半の症例 (61.2%)において患者さんと医師のGAスコアに類似性が見られ、23.2%の症例で患者報告のGAスコアが医師のGAスコアより高いという特徴が見られました2。患者報告のGAスコアの方が高いというのは、その点に関して患者さんが医師より深刻だと判断していることを意味します2。15.7%の症例では、医師のGAスコアが患者報告のGAスコアを上回っていました2。
- 医師より高いGAスコアをつけた患者さんの割合は、24週時に39.1%まで増加した一方、医師のGAスコアの方が高い症例の割合は11.2%に減少しました2。
- 患者報告のGAスコアの方が高い主な決定因子は、疼痛でした。またその他の因子として、ベースラインの健康関連QOLの身体的側面の悪化や24週時の倦怠感の悪化が追加要因として挙げられました2。逆に医師は、疾患の状態を評価する際、SJC、TJC、C反応性タンパクの上昇などの客観的な指標を重視していました2。
ヤンセン・リサーチ&ディベロップメントのバイスプレジデント兼リウマチ学・母体胎児免疫疾患領域のリーダーであるTerence Rooney(M.D., Ph.D.)は、次のように述べています。「我々の継続的な研究は、乾癬における治療選択肢を提供するだけでなく、患者さんの差し迫ったニーズへの理解を深め支援を強化するというヤンセンのコミットメントを強調するものです。活動性関節症性乾癬は治療の困難な慢性疾患であり、患者さんと医療従事者が協力して、長期的な症状緩和を目指し、患者報告によるアウトカムを含む症状のあらゆる側面に対処する上で、これらの知見は重要な意味を持ちます」
ヤンセンは2023年欧州リウマチ学会において、関節性リウマチ、特発性炎症性筋疾患、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデスを含む自己免疫疾患の治療における臨床的な進歩への取り組みを示すデータも発表します。
用語の説明:
- a. MDAは、7項目の指標(リーズ腱付着部炎指数〔LEI〕≤1、HAQ-DI ≤0.5、患者報告による疼痛 ≤15、PASI ≤1、患者さんによるGA ≤20、SJC ≤1、TJC ≤1)のうち5項目を達成していることと定義される1。
- b. この分析は、患者報告によるGAと医師によるGAの一致度を評価し、患者さん及び医師にとって、特定の関節症性乾癬の症状の重要性の違いに関する貴重な洞察を提供できるものと期待される2。
- c. PASI スコアは、体の各部位の尋常性乾癬の面積、および紅斑、浸潤、落屑の程度に基づくその重症度を点数化して評価する4。
- d. リーズ腱付着部炎指数(LEI)指数は、両側の外側上顆、大腿骨内側顆、アキレス腱付着部の6部位における付着部の圧痛の有無を評価する5。
- e. TJC および SJC は、臨床試験と観察研究において関節性疾患の活動評価に使われる主なアウトカム指標6。
- f. HAQ-DI は、患者報告によるアウトカムモデルを表すよう設計されている7。患者さんは、20項目のHAQ-DIに記入して身体機能の状態を評価する。HAQ-DIには、上肢の微細運動、下肢の歩行運動、上肢下肢両方を含む活動に関する質問が含まれている7。
- g. Laura Coates博士は、ヤンセンのコンサルタントを務めているが、メディアに対する活動についての報酬は受け取っていない。
- h. ACR20改善は、腫脹・圧痛関節数がベースラインから20%以上改善し、かつ以下5つのうち3つの基準がベースラインから20%改善した場合と定義される。5つの基準は、患者報告よるGA、医師によるGA、HAQ-DI、ビジュアルアナログスケールに基づく患者報告による疼痛、赤血球沈降率またはC反応性タンパクである8。
COSMOS試験(NCT03796858)について
COSMOS試験は、TNFα阻害薬に対し十分な効果が得られなかった成人の活動性関節症性乾癬患者さん285人を対象に、トレムフィア®の有効性と安全性を評価する、無作為化、二重盲検、多施設共同プラセボ対照第IIIb相試験です8。主要評価項目は24週時のACR20h改善とし8、主要評価項目の結果は2021年6月に発表されました9。患者さんは、0週時、4週時、および以後は8週間毎にトレムフィア®100mg投与群とプラセボ対照群に2対1の割合で無作為に割りつけられました8。この試験は、トレムフィア®の有効性と安全性をプラセボと比較し主要解析を行う24週間の二重盲検プラセボ対照期間と、トレムフィア®の有効性と安全性の追加解析を行う32週間の実薬投与期間および安全性追跡調査期間という2つの期間から構成されています8。48週時まで、(治療失敗ルール適用後の)欠測データに対してノンレスポンダー補完法(NRI)を使用しました1。また56週目までの試験期間中の安全性をモニタリングしました8。2剤以下の抗TNF療法に対し十分な効果の得られなかった活動性関節症性乾癬患者さんにおいて、トレムフィア®は24週時までプラセボと同等の有害事象プロファイルを示し、1年間の投与期間を通じて有害事象の増加は認められませんでした10。従って、COSMOS 試験の安全性プロファイルは、生物学的製剤による治療歴のない関節症性乾癬患者さんにおけるトレムフィア®の既知の安全性プロファイルと一貫していました11,12,13,14,15。
DISCOVER-1試験(NCT03162796)について
DISCOVER-1試験は、2剤以下のTNFα阻害薬による治療歴のある人を含む活動性関節症性乾癬患者さんにおけるトレムフィア®の有効性と安全性を評価した無作為化、二重盲検、多施設共同第III相試験です16。DISCOVER-1 試験は 383 例を評価し、約1年間の追跡調査を行いました16。この試験は、最長6週間のスクリーニング期、0週から24週までのプラセボ対照期間と24週から52週までの盲検化された実薬投与期間を含む52週間の治療期間で構成されています16。活動性関節症性乾癬の混合患者集団(69%は生物学的製剤による治療歴なし、31%はTNFα阻害薬による治療歴あり)において、トレムフィア®は24週時までプラセボと同等の有害事象プロファイルを示し、TNFα阻害薬による治療歴の有無に関わらず、1年間の投与期間を通して時間調整後有害事象発生率の上昇は見られませんでした11,12,13。この試験には、60週時まで(すなわち、48週時の最後の治験薬投与から約12週間)の安全性追跡調査期間も含まれています16。有効性、安全性、薬物動態、免疫原性、およびバイオマーカーの評価は、既定のスケジュールに基づいて実施されました16。また主要評価項目は、24週時のACR20改善でした16。
DISCOVER-2試験(NCT03158285)について
DISCOVER-2試験は、生物学的製剤による治療歴のない活動性関節症性乾癬患者さんにおけるトレムフィア®の有効性と安全性を評価した、無作為化、二重盲検、多施設共同第III相試験です17。DISCOVER-2 試験は741例を評価し、約2年間の追跡調査を行いました17。この試験は、最長6週間のスクリーニング期、0週から24週時までのプラセボ対照期間と24週から100週時までの盲検化された実薬投与期間を含む約100週間の治療期間で構成されています17。さらに、112週時まで(すなわち、100週時の最後の治験薬投与から約12週間)の安全性追跡調査期間も含まれています17。生物学的製剤による治療歴のない活動性関節症性乾癬患者さんから成る大規模コホートにおいて、トレムフィア®は24週時までプラセボと同等の有害事象プロファイルを示し、2年間の投与期間を通して時間調整後有害事象発生率の上昇は見られませんでした14,15。臨床的な有効性、画像検査上の有効性、医療経済、安全性、薬物動態、免疫原性、バイオマーカー及び薬理ゲノミクスの評価を、既定のスケジュールに基づいて実施しました17。また主要評価項目は、24週時のACR20改善でした17。
関節症性乾癬について
関節症性乾癬は、末梢関節の炎症、腱付着部炎(骨、腱、靭帯の結合部の疼痛)、指炎(手足の指の炎症の一種で、ソーセージ様の腫脹を伴う場合がある)、体軸病変、尋常性乾癬に伴う皮膚病変を特徴とする慢性の免疫介在性炎症性疾患です18,19,20。関節症性乾癬は関節とその周囲の疼痛、こわばり感、腫脹を引き起こします。30~50歳が好発年齢ですが、年齢を問わず発症することもあります21。約半数の関節症性乾癬患者さんが、修正疲労影響尺度(MFIS)に基づく中程度の倦怠感を、約30%が重度の倦怠感を呈します22。また関節症性乾癬の患者さんには、肥満、心血管疾患、不安、抑うつなどの併存疾患が多く認められます23。そして尋常性乾癬患者さんの最大30%が関節症性乾癬を併発することが研究で示されています21。関節症性乾癬の正確な原因は不明ですが、遺伝子、免疫系、環境因子のすべてが発症に関与していると考えられています24。
トレムフィア®(グセルクマブ)について ※以下の適応症は、米国や欧州等のものも含まれます。
ヤンセンが開発したトレムフィア®は、インターロイキン(IL)-23のp19サブユニットに選択的に結合してIL-23受容体との相互作用を阻害するヒト型モノクローナル抗体です3,25。IL-23は、中等症から重症の尋常性乾癬や活動性関節症性乾癬などの炎症性疾患の発症に関与する重要な因子の1つです3。トレムフィア®は、注射や錠剤(全身療法)または光線療法(紫外線を用いた治療)が有効な可能性のある中等症から重症の尋常性乾癬の成人患者さん、および活動性関節症性乾癬の成人患者さんの治療薬として、米国、カナダ、日本をはじめとする多くの国で承認されています3,26,27。また欧州でも、全身療法が適応となる中等症から重症の尋常性乾癬の成人患者さん、および疾患修飾性抗リウマチ薬による治療で効果不十分、または忍容性が不良の活動性関節症性乾癬の成人患者さんの治療薬として承認されています3。
in vitro 試験において、トレムフィア®は炎症性単球モデルのIL-23産生細胞の表面に発現するCD64にも結合することが示されています28,29,30。なお、この知見の臨床的意義は不明です31。
ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門であるヤンセンは、トレムフィア®の全世界での独占販売権を有しています。
ヤンセンについて
ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちは循環器疾患、代謝・網膜疾患、免疫疾患、感染症・ワクチン、精神・神経疾患、がん、肺高血圧症の分野で貢献ができると考え、注力しています。
ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。
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ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です。
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