※本プレスリリースは、10月21日にヤンセン米国本社にて発表したプレスリリースの抄訳版です。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先します。本資料(英文)については、こちらをご参照ください。
第III相PAPILLON試験の新たなデータRYBREVANT®(アミバンタマブ[遺伝子組換え])と化学療法の併用療法が、新たに診断されたEGFRエクソン20挿入変異を有する非小細胞肺がん患者さんの病勢進行または死亡のリスクを60%低減
同試験で、EGFRエクソン20挿入変異を有する進行性非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんの一次治療として、RYBREVANT®と化学療法の併用療法が有効である可能性も示される
最新のデータは、2023年ESMO年次総会のプレジデンシャルシンポジウムにて発表され、『The New England Journal of Medicine』にも掲載
スペイン・マドリード(米国時間2023年10月21日)– 米国ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門であるヤンセンファーマ(以下、ヤンセン)は10月21日、第III相PAPILLON試験の新たなデータを発表しました。同試験では、新たに診断された上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を有する進行性または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんを対象に、RYBREVANT®(アミバンタマブ[遺伝子組換え]、以下、アミバンタマブ)と化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセド)の併用療法による一次治療が、化学療法単独と比較して、病勢進行または死亡のリスクを60%低減させたことが示されました(ハザード比 [HR]=0.395;95%信頼区間[CI]、0.30–0.53;p値<0.0001)。同試験では、RYBREVANT®と化学療法の併用療法による全奏効率(ORR)および最初の治療の後に行った治療後の無増悪生存期間(PFS2)の有意な改善も示されました。これらのデータは、2023年10月20~24日にスペイン・マドリードで開催された2023年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会のプレジデンシャルシンポジウムで発表され(抄録番号LBA5)、『The New England Journal of Medicine』にも掲載されました1。
Versailles Saint Quentin Universityの呼吸器内科教授、パリ・Curie研究所腫瘍内科部門長で、筆頭著者のNicolas Girard* M.D.は、以下のように述べています。「EGFRエクソン20挿入変異を有する患者さんのプラチナ製剤による化学療法後の二次治療では、これまでもRYBREVANT®による有望なアウトカムが示されています。しかし、より早い段階から病勢進行に対処し、患者さんの適切な治療アウトカムを達成するために、一次治療から標的療法が行われるのが一般的です。PAPILLON試験で認められた無増悪生存期間およびその他の有効性に関する評価項目における有意な改善は、RYBREVANT®と化学療法の併用療法が、将来これらの患者さんに対する一次治療レジメンとなる可能性を支持するものです」
RYBREVANT®と化学療法の併用療法群は、化学療法単独群と比較して、盲検化独立中央評価(BICR)による評価で、PFS(RECIST v1.1ガイドライン†に基づく)の延長が認められました。追跡期間(中央値14.9カ月)において、RYBREVANT®と化学療法の併用療法群の方が、化学療法単独群と比較し、PFSが有意に延長しました(中央値、併用療法群11.4カ月および化学療法単独群6.7カ月;病勢進行または死亡のHR =0.395;95%信頼区間[CI]、0.30–0.53;P<0.0001)。18カ月時点で、RYBREVANT®と化学療法の併用療法群の31%が無増悪生存であったのに対し、化学療法単独群では3%でした。RYBREVANT®と化学療法の併用療法は、患者サブグループ全体で一貫したPFSの改善を示しました1。
全奏効率(ORR)は、RYBREVANT®と化学療法の併用療法群で73%(95%信頼区間[CI]、65–80)、化学療法単独群で47%(95%信頼区間[CI]、39–55)でした。PFS2の中央値は、化学療法単独群よりもRYBREVANT®と化学療法の併用療法群で長く(HR=0.493;95%信頼区間[CI]、0.32–0.76;P=0.001)、RYBREVANT®と化学療法の一次治療としての可能性を支持するものです。また、化学療法単独群の94例中71例(76%)の患者さんが、二次治療としてRYBREVANT®の投与を受けました。全生存期間(OS)の中間解析では、化学療法単独群と比較して、RYBREVANT®と化学療法の併用療法群で良好な結果が示され(HR=0.675;95%信頼区間[CI]、0.42–1.09;P=0.106)、2年生存率は、併用療法群で72%、化学療法単独群で54%でした1。
RYBREVANT®と化学療法の併用療法群では、EGFRおよび間葉上皮転換(MET)に関連する毒性が認められました。その大部分はグレード1およびグレード2であり、爪囲炎、発疹、低アルブミン血症、末梢性浮腫などがありました。RYBREVANT®と化学療法の併用療法群において可逆的な好中球減少症の高い発現率が認められた以外は、化学療法に起因する血液毒性および消化器毒性の発現率は両群で同程度でした。有害事象により投与を中止した患者数は、いずれの群においてもごくわずかでした。なお、RYBREVANT®と化学療法の併用療法における安全性プロファイルは、個々の薬剤の安全性プロファイルと一貫していました1。
ヤンセン・リサーチ&ディベロップメント、固形腫瘍領域部門 臨床開発担当バイスプレジデントであるKiran Patel(M.D.)は、以下のように述べています。「新たに診断されたEGFRエクソン20挿入変異を有する進行性または転移性NSCLCの患者さんは、化学療法単独による治療を受けても、急速な病勢進行や不良な転帰が認められることもあるため、早期の段階で使用できる標的療法が求められています。PAPILLON試験は、化学療法との併用による標的療法が臨床的に意義のある結果を示した初の第Ⅲ相無作為化試験です。RYBREVANT®と化学療法の併用療法は、これらの患者さんに対する一次治療として、今後の治療に変化をもたらす可能性があります」
PAPILLON試験の結果は、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)に提出され、審査を受けています。
PAPILLON試験について
PAPILLON(NCT04538664)試験は、新たに診断されたEGFRエクソン20挿入変異を有する進行性または転移性NSCLC患者さん308例を対象として、RYBREVANT®と化学療法を併用した場合の有効性を化学療法単独群と比較するとともに、安全性を評価する、無作為化、非盲検、第III相試験です。本試験の主要評価項目は、BICRにより評価したPFSです。副次評価項目には、ORR、PFS2、奏効期間(DOR)、後治療に至るまでの期間(TST)およびOSが含まれます。化学療法単独群の患者さんは病勢進行が確認された後、二次治療においてRYBREVANT®単独療法を受けることが認められました1。
RYBREVANT®について ※日本国内では未承認です。
RYBREVANT®(アミバンタマブ)は、免疫細胞を介した作用によりEGFRおよびMETを標的とする完全ヒト型二重特異性抗体です。米国食品医薬品局(FDA)が承認した検査によりEGFRエクソン20挿入変異が検出された局所進行性または転移性NSCLC成人患者さんにおいて、プラチナ製剤による化学療法の実施中または実施後に病勢が進行した場合の治療薬として、2021年5月にFDAより迅速承認を取得しました2。この適応は、ORRおよびDORに基づき、迅速承認制度のもとで承認を受けました。本適応に対する承認の継続条件は、検証的試験において臨床的有用性を検証および記述することです。RYBREVANT®は、欧州のほか、その他の複数の国や地域において承認を取得しています。2023年8月、ヤンセンは、EGFRエクソン20挿入変異を有するNSCLC患者さんの一次治療として、RYBREVANT®と化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセド)の併用療法の適応拡大を求め、生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を米国FDAに提出しました。また、EMAに対しては、RYBREVANT®と化学療法の併用療法の承認を求める販売承認申請を提出しました。
NSCLCのNCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology(NCCN Guidelines®)‡では、EGFRエクソン20挿入変異の検出にはPCRベースよりNGSベースの検査技法が望ましいとされており、免疫療法の併用に関わらずプラチナ製剤による化学療法の実施中または実施後に病勢が進行し、EGFRエクソン20挿入変異を有する進行性NSCLC患者さんに対しては、後治療の選択肢としてアミバンタマブ(RYBREVANT®)をカテゴリー2Aで推奨するとしています3§‖
第III相PAPILLON試験に加え、以下に記載するNSCLCの患者さんを対象とする複数の臨床試験において、RYBREVANT®の評価を行っています。
- 第III相MARIPOSA(NCT04487080)試験は、EGFRエクソン19欠失(ex19del)変異またはL858R変異を有する局所進行性または転移性NSCLC患者さんの一次治療において、RYBREVANT®とラゼルチニブ**の併用療法を、オシメルチニブ、およびラゼルチニブ単独療法と比較評価する試験です4。同第Ⅲ相無作為化試験のトップラインデータでは、オシメルチニブと比較して、RYBREVANT®とラゼルチニブの併用療法群の患者さんで統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるPFSの改善が示されました4。
- 第III相MARIPOSA-2(NCT04988295)試験は、オシメルチニブ投与中または投与後に病勢が進行したEGFR ex19del変異またはL858R変異を有する局所進行性または転移性NSCLC患者さんを対象として、RYBREVANT®(ラゼルチニブ併用および非併用)とカルボプラチン+ペメトレキセドを併用した場合の有効性をカルボプラチン+ペメトレキセドと比較評価する試験です。同第III相無作為化試験のトップラインデータでは、化学療法単独群と比較して、RYBREVANT®と化学療法の併用療法群(ラゼルチニブ併用および非併用)の患者さんにおいて、統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるPFSの改善が示されました5。
- 第I相CHRYSALIS(NCT02609776)試験は、進行性NSCLC患者さんを対象としてRYBREVANT®を評価する試験です6。
- 第I/Ib相CHRYSALIS-2(NCT04077463)試験は、EGFR変異を有する進行性NSCLC患者さんを対象として、RYBREVANT®とラゼルチニブの併用療法、およびラゼルチニブ単独療法を評価する試験です7。
- 第I相PALOMA(NCT04606381)試験は、安全性および薬物動態に基づきアミバンタマブの皮下投与の実行可能性を評価し、アミバンタマブ皮下投与の投与量、投与レジメンおよび薬剤組成を決定するための試験です8。
- 第II相PALOMA-2(NCT05498428)試験は、EGFR変異を有するNSCLCを含む進行性または転移性固形がん患者さんを対象として、アミバンタマブ皮下投与を評価する試験です9。
- 第III相PALOMA-3(NCT05388669)試験は、EGFR変異を有する進行性または転移性NSCLC患者さんを対象として、ラゼルチニブとアミバンタマブ皮下投与の併用療法をアミバンタマブ静脈内投与と比較評価する試験です10。
- 第I/II相METalmark(NCT05488314)試験は、局所進行性または転移性NSCLC患者さんを対象として、RYBREVANT®とカプマチニブの併用療法を評価する試験です11。
- 第I/II相PolyDamas(NCT05908734)試験は、局所進行性または転移性NSCLC患者さんを対象として、RYBREVANT®とcetrelimabの併用療法を評価する試験です12。
- 第II相SKIPPirr(NCT05663866)試験は、再発性または難治性でEGFR変異を有する進行性または転移性NSCLC患者さんを対象とするRYBREVANT®とラゼルチニブの併用療法において、初回投与に伴うインフュージョンリアクションの発現率および/または重症度を低減する方法を探索する試験です13。
詳しくは、https://www.RYBREVANT.comをご覧ください。
**なお、ラゼルチニブは日本国内では未承認です。
非小細胞肺がんについて
世界的に見て肺がんは最も一般的ながんの1つであり、すべての肺がんのうちNSCLCは80〜85%を占めます14,15。NSCLCの主なサブタイプには、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんがあります16。NSCLCにおける最も一般的なドライバー遺伝子変異は、細胞の増殖や分裂をコントロールする受容体型チロシンキナーゼであるEGFRの変異です17。組織学的サブタイプが腺がんであるNSCLCの場合、欧米人患者の10〜15%、アジア人患者の40〜50%にEGFR変異が認められます16,17,18,19,20,21,22。EGFR ex19del変異またはEGFR L858R変異は、EGFR変異の中で最も一般的な変異です23。EGFR変異を有する進行性NSCLC患者さんでEGFR TKI治療歴のある患者さんの5年生存率は20%未満です24,25。EGFRエクソン20挿入変異は、3番目に多いEGFRを活性化する変異です26。実臨床におけるEGFRエクソン20挿入変異を有する患者さんの5年生存率は8%であり、EGFR ex19del変異またはEGFR L858R変異を有する患者さんの19%と比べ低い値となっています27。
* Nicolas Girard教授は、ヤンセンのコンサルタントを務めていますが、メディアに対する活動についての報酬は受け取っていません。
† RECIST(version 1.1)とは、Response Evaluation Criteria in Solid Tumorsのことで、固形がんに対する治療効果を評価するための標準的な方法であり、腫瘍が縮小したか、同じ大きさか、増大したかに基づき評価します。
‡ NCCNの内容は医学的な助言を意味するものではなく、有資格の開業医による専門的・医学的な助言、診断または治療を求める代わりに使用するべきではありません。NCCNは、特定の患者さんのケアまたは治療に対するNCCNの内容の妥当性または適用可能性についていかなる表明も保証も行わず、これらを明確に否認します。
§ その他の治療選択肢を含め、詳細な推奨事項についてはNCCNガイドラインをご参照ください。
‖ NSCLCのNCCNガイドラインでは、検査すべき特定の各バイオマーカーについて、ならびに検査技法について推奨事項を提示していますが、特定の市販バイオマーカーアッセイや民間検査機関を推奨するものではありません。
ヤンセンについて
ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちは循環器疾患、代謝・網膜疾患、免疫疾患、感染症・ワクチン、精神・神経疾患、がん、肺高血圧症の分野で貢献ができると考え、注力しています。
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