アミバンタマブ(遺伝子組換え)、EGFRエクソン20挿入変異を有する手術不能又は再発非小細胞肺癌に係る製造販売承認を申請
本申請は、EGFRエクソン20挿入変異を有する非小細胞肺がんにおいて、臨床的に意義のある結果を示した初の無作為化第III相PAPILLON試験のデータに基づく
ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:關口修平、以下「ヤンセン」)は17日、上皮成長因子受容体(EGFR)及び間葉上皮転換(MET)を標的とする二重特異性抗体であるアミバンタマブ(遺伝子組換え)について、EGFRエクソン20挿入変異を有する手術不能又は再発非小細胞肺癌(NSCLC)に対する化学療法との併用療法について、製造販売承認申請を行いました。
今回の申請は、日本及び海外で実施された第III相PAPILLON試験(NCT04538664)の結果に基づくものです1。本試験は、EGFRエクソン20挿入変異を有する手術不能又は再発NSCLC患者さんを対象に、アミバンタマブと化学療法との併用による有効性を化学療法群と比較し、安全性を評価する無作為化、非盲検試験です1。
今年7月ヤンセンは、PAPILLON試験において、アミバンタマブと化学療法併用群の無増悪生存期間(PFS)が、化学療法群と比較し統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示し、主要評価項目を達成したことを発表しました2。また、アミバンタマブと化学療法の併用療法群は、化学療法群と比較し、より深い奏効と持続的な奏効に関連し、高い奏効率及び長い奏効期間を示しました。なおアミバンタマブと化学療法との併用療法の安全性プロファイルは、アミバンタマブ及び化学療法それぞれの安全性プロファイルと一貫していました2。
これらの結果は、2023年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会のプレジデンシャルシンポジウムで発表され(抄録番号LBA5)、「The New England Journal of Medicine」にも掲載されました3。
EGFRチロシンキナーゼ阻害剤で効果が期待できるEGFR ex19del変異またはEGFR L858R変異とは異なり、EGFRエクソン20挿入変異を有する局所進行又は転移性のNSCLCは、高い効果が期待できる治療薬がなく、5年生存率は8%とアンメットニーズの高い疾患です4。
ヤンセンの取締役 研究開発本部 本部長のアマナス・シャーマは次のように述べています。「PAPILLON試験は、EGFRエクソン20挿入変異を有するNSCLC患者さんを対象とした無作為化第III相試験で、臨床的に意義のある結果を示した初めての試験です。これにより、高いアンメットニーズのある患者さんに対し、標準治療を大きく進展させる可能性があります。日本の患者さんにも新たな治療選択肢を提供すべく、今後の承認取得に向け、当局と緊密に連携して参ります」
PAPILLON試験について
PAPILLON試験(NCT04538664)は、新たに診断された、EGFRエクソン20挿入変異を有する手術不能又は再発NSCLC患者さんを対象に、アミバンタマブと化学療法を併用した際の有効性と安全性を、化学療法群と比較し評価する無作為化、非盲検、第III相試験です1。本試験の主要評価項目は、盲検下独立中央評価により評価したPFS(RECIST v1.1ガイドライン*に基づく)です。副次評価項目は、全奏効率(ORR)、最初の治療後の無増悪生存期間、病勢進行までの期間(DOR)、全生存期間(OS)です1。なお化学療法のみを行った患者さんは、病勢進行後、二次治療としてアミバンタマブ単剤療法を受けることが認められました2。
アミバンタマブについて
アミバンタマブは、EGFRおよびMETを標的とする完全ヒト型二重特異性抗体で、免疫担当細胞を介して抗腫瘍作用を発揮し、活性化及び抵抗性のEGFR変異、MET変異及び増幅を有する腫瘍を標的とします5,6,7,8,9。米国食品医薬品局(FDA)が承認した検査によりEGFRエクソン20挿入変異が検出された局所進行性または転移性NSCLC成人患者さんにおいて、プラチナ製剤による化学療法の実施中または実施後に病勢が進行した場合の治療薬として、2021年5月にFDAより迅速承認を取得しました10。この適応は、ORRおよびDORに基づき、迅速承認制度のもとで承認を受けました。本適応に対する承認の継続条件は、検証的試験において臨床的有用性を検証および記述することです。アミバンタマブは、欧州のほか、韓国やオーストラリアを含む10以上の国や地域において承認を取得しています。
NSCLCのNCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology(NCCN Guidelines®)§では、EGFRエクソン20挿入変異の一部の検出が難しいPCRベースよりも、NGSベースの検査技法が望ましいとされており、免疫療法の併用に関わらずプラチナ製剤による化学療法の実施中または実施後に病勢が進行し、EGFRエクソン20挿入変異を有する進行性NSCLC患者さんに対しては、後治療の選択肢としてアミバンタマブをカテゴリー2Aで推奨するとしています11,‖,¶。
非小細胞肺がんについて
世界的に見て肺がんは最も一般的ながんの1つであり、すべての肺がんのうちNSCLCは80〜85%を占めます12,13。NSCLCの主なサブタイプには、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんがあります14。NSCLCにおける最も一般的なドライバー遺伝子変異は、細胞の増殖や分裂をコントロールする受容体型チロシンキナーゼであるEGFRの変異です15。組織学的サブタイプが腺がんであるNSCLCの場合、欧米人患者さんの10〜15%、アジア人患者さんの40〜50%にEGFR変異が認められます14,15,16,17,18,19,20。EGFR エクソン19欠失またはL858R変異は、EGFR変異の中で最も一般的な変異です21。
日本国内における肺がんの患者数は、年間126,000人と推定され22、2020年の肺がんによる死亡数は約76,000人であり、がん関連死における肺がんの割合は、男性の24%、女性の14%を占める予後不良の疾患22です。
* RECIST(version 1.1)とは、Response Evaluation Criteria in Solid Tumorsのことで、固形がんに対する治療効果を評価するための標準的な方法であり、腫瘍が縮小したか、同じ大きさか、増大したかに基づき評価します。
§ NCCNの内容は医学的な助言を意味するものではなく、有資格の開業医による専門的・医学的な助言、診断または治療を求める代わりに使用するべきではありません。NCCNは、特定の患者さんのケアまたは治療に対するNCCNの内容の妥当性または適用可能性についていかなる表明も保証も行わず、これらを明確に否認します。
‖ その他の治療選択肢を含め、詳細な推奨事項についてはNCCNガイドラインをご参照ください。
¶ NSCLCのNCCNガイドラインでは、検査すべき特定の各バイオマーカーについて、ならびに検査技法について推奨事項を提示していますが、特定の市販バイオマーカーアッセイや民間検査機関を推奨するものではありません。
ヤンセンについて
ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちはがん、免疫疾患、精神・神経疾患、心血管疾患、肺高血圧症、網膜疾患の分野で貢献ができると考え、注力しています。
ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。
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ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です。
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