※本プレスリリースは、4月8日に米国本社にて発表したプレスリリースの抄訳版です。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容及び解釈については英語が優先されます。本資料(英文)については、こちらをご参照ください。
ニポカリマブは現在開発中であり、現時点でいずれの国においても承認されておりません。
ジョンソン・エンド・ジョンソン 成人の全身型重症筋無力症(gMG)における長期の持続的な症状コントロールを示す ニポカリマブに関するデータを発表
Vivacity-MG3試験及び非盲検継続試験において、18カ月に及ぶ免疫グロブリンGの持続的な低下、gMGの諸症状の持続的な改善を示す新たな結果が示される
非盲検継続試験aにおける最長128週間及び180患者・年の追跡調査の結果 第III相Vivacity-MG3試験と一貫した安全性プロファイルを示す
非盲検継続試験のベースライン時にステロイド薬の投与を受けていた患者さんの45%がステロイド薬を減量又は中止
同試験における24週間の二重盲検試験において、ニポカリマブ+標準治療(SOC)併用群はプラセボ+SOC併用群と比較し、QMGbスコアにより測定したさまざまな筋力と機能改善及び維持のオッズが4倍高いことが示される
ペンシルバニア州スプリングハウス、2025年4月8日– Johnson & Johnson(NYSE:JNJ、以下「J&J」)は、抗体(抗AChR抗体、抗MuSK抗体、抗LRP4抗体)陽性の成人全身型重症筋無力症(gMG)患者さんの幅広い集団を対象に、現在開発中であるニポカリマブの有効性及び安全性を評価する第III相Vivacity-MG3二重盲検試験及び現在進行中の非盲検継続試験a(OLE)の追加解析の結果を発表しました1,2。ニポカリマブ+標準治療(SOC)併用群では、総免疫グロブリンG(IgG)濃度の低下が持続し、84週間にわたり、MG-ADLcスコア及びQMGbスコアの改善が維持されました1。これらの解析結果は、米国カリフォルニア州サンディエゴで開催された米国神経学会(AAN)の2025年年次総会で、J&Jが発表する12の抄録の1つ(セッション7#022)です。また本学会では、第III相Vivacity-MG3試験の二重盲検試験におけるQMGスコア改善に関する口頭発表も行われました。
カンザス大学メディカルセンター神経学科の准教授であるConstantine Farmakidis M.D.は次のように述べていますd。「gMGが慢性の経過をたどること、そしてこの疾患が患者さんにとって大きな負担となっていることを考えると、ニポカリマブにより84週間にわたり持続的な症状コントロールが認められたということは、重要な結果であると言えます。そして、AChR抗体、MuSK抗体、又はLRP4抗体が血清学的陽性である広範囲な集団において、MG-ADLスコア及びQMGスコアにより測定した症状コントロールの改善を示す今回の解析結果に、私は大変勇気づけられました」
二重盲検試験のベースラインからOLEの60週後までのMG-ADLスコアの平均変化量は、ニポカリマブ+SOC併用群で−5.64(p<0.001)であり、プラセボ+SOC併用群からニポカリマブ+SOC併用群に移行した患者さんでは−6.01(p<0.001)でした1。抗体陽性の集団では、OLEのベースライン時にステロイド薬を投与された患者さんの45%が、今回のデータカットオフ時点で、ステロイド薬の投与量をベースラインから半分以上減量する、あるいは中止することができました1。これらの患者さんでは、プレドニゾンの平均使用量が23 mg/日から10 mg/日に減少しました1。ニポカリマブの安全性プロファイルは、OLE期間を通して一貫しており、良好な忍容性を示しました1。
第III相Vivacity-MG3試験の二重盲検試験で得られたその他の結果から、ニポカリマブ+SOC併用群では、第22週及び第24週までに、QMGスコアがプラセボ+SOC併用群と比較して統計的に有意(p<0.001)に改善(−4.9)されたことが確認されています2。ニポカリマブ+SOC併用群では、第20週時において、症状の改善(QMGスコアが3点以上改善)が持続している可能性がプラセボ+SOC併用群と比較して4倍高いことも確認されました2。試験期間の75%以上にわたりQMGスコアの改善が認められた患者さんは、ニポカリマブ群(36.4%)の方がプラセボ群(10.5%)よりも有意(p<0.001)に多かったことも示されました2。QMGスコアが3点以上減少したということは、筋力が改善し、症状の重症度が低下したことにより、嚥下や咀嚼などの重要な日常動作を行えるようになったことを示しています3,4。
Johnson & Johnson Innovative MedicineのAutoantibody PortfolioのVice PresidentかつMaternal Fetal Immunology Disease Area LeaderであるKatie Abouzahr M.D.は次のように述べています。「gMG患者さんは、嚥下障害、発語障害、筋力低下など、日常生活においてさまざまな困難に直面しています。これらの課題に対処し、持続的な症状コントロールと長期的な安定性をもたらす可能性のある効果的な治療薬が更に必要とされています。今回の結果は、gMGをはじめとする自己抗体疾患とともに生きる患者さんのために、革新的な治療薬を開発するという私たちのコミットメントを更に強調するものです」
用語の説明:
a. 非盲検継続試験の中間解析には、ニポカリマブ投与患者さんの60週間の非盲検データと、二重盲検試験の投与群の24週間を含む計84週間のデータが含まれています。一部の患者さんについては、128週間の追跡調査データが得られています1。
b. QMG(Quantitative Myasthenia Gravis[定量重症筋無力症])は、重症筋無力症の重症度を測る、臨床医による13項目の評価です。QMGスコアの合計は0~39で、スコアが高いほど重症度が高いことを示します3。
c. MG-ADL(Myasthenia Gravis -Activities of Daily Living[重症筋無力症-日常生活動作])は、日常生活動作に影響を及ぼす症状を患者さんの報告に基づいて迅速に臨床評価する指標です。合計スコアは0~24で、スコアが高いほど症状の重症度が高いことを示します3。
d. Dr. Constantine Farmakidis M.D.は、ジョンソン・エンド・ジョンソンのコンサルタントを務め、アドバイスや講演を行っていますが、メディア関連の活動に関する報酬は受け取っていません。
全身型重症筋無力症(gMG)について
重症筋無力症(MG)は、免疫系が誤って各種の抗体(抗アセチルコリン受容体[AChR]抗体、抗筋特異的キナーゼ[MuSK]抗体、抗低密度リポ蛋白質受容体関連蛋白質4[LRP4]抗体など)を産生する自己抗体疾患です。神経筋接合部のタンパク質を標的として、正常な神経筋シグナル伝達を遮断又は障害することで、筋収縮を障害または妨げます5,6,7。MGは世界で70万人の患者さんがいると推定されています5。MGは男女を問わず、あらゆる年齢、人種、民族において発症しますが、若い女性と高齢の男性に最も多くみられます8。MGと診断された人の中では、約半分が女性で、そのうち、5人に1人は妊娠可能な年齢でもあります9,10,11。MG新規症例の約10~15%が青年期(12~17歳)に診断されています12,13,14。若年性MG患者さんは、男性よりも女性の方が多く、米国の小児MG患者さんの65%以上が女性です15,16,17。
初発症状は眼症状であることが多いものの、MG患者さんの85%が、全身型重症筋無力症(gMG)です。gMGの主な症状は、重度の骨格筋の筋力低下、発話困難、嚥下困難です18,19,20,21,22。米国では約100,000人のgMG患者さんがいると推定されています23。小児患者さんのような脆弱なgMG集団は、治療の選択肢がより限られています24。現在、青年期のgMG患者さんに対するSOCは、成人患者さんを対象とした試験から外挿されたものです14。米国では、青年期のgMG患者さんへの治療法としては、対症療法以外になく、FcRn阻害剤は承認されていません14。
第III相Vivacity-MG3試験について
第III相Vivacity-MG3試験(NCT04951622)は、アンメットニーズの高い予測不可能なこの慢性疾患を対象に、ニポカリマブの持続的な有効性と安全性を評価する試験です。現在の標準治療で十分な効果が得られない(MG-ADL ≥6)、抗体陽性または抗体陰性のgMG成人患者さんを対象とし、199人(うち153人が抗体陽性者)が、24週間の二重盲検、プラセボ対照試験に参加しました25,26。患者さんは、現在の標準治療に加えてニポカリマブの静脈内投与(30 mg/kg負荷投与後、隔週で15 mg/kg)または現在の標準治療に加えてプラセボの投与に、1対1の割合で無作為に割り付けられました25。ベースライン時の人口統計学的特性は、治療群間で均衡していました(ニポカリマブ群77人、プラセボ群76人)25。主要評価項目は、抗体陽性患者さんでの、第22週、第23週、第24週にわたるベースラインからのMG-ADLスコアの平均変化量でした。重要な副次評価項目としては、QMGスコアの変化量が含まれました。長期的な安全性と有効性は、現在進行中の非盲検継続試験(OLE)でさらに評価されています26。
ニポカリマブ(nipocalimab)について
ニポカリマブは現在開発中のモノクローナル抗体であり、高い親和性で結合してFcRnを阻害し、循環免疫グロブリンG(IgG)抗体の濃度を下げつつ、広範囲な免疫抑制を引き起こさずに免疫機能も維持するよう設計されています。その対象には、「希少な自己抗体疾患」、母体の同種抗体が介在する「母体胎児疾患」および「リウマチ性疾患」において疾患の根本的な原因となっている自己抗体や同種抗体が含まれます26,27,28,29,30,31,32,33,34。また、胎盤でIgGとFcRnの結合を阻害することで、母体の同種抗体が胎盤を介して胎児に移行することを防げるとも考えられています35,36。
ニポカリマブは、米国食品医薬品局(FDA)及び欧州医薬品庁(EMA)より、以下の重要な指定を受けています。
• 2019年7月に胎児新生児溶血性疾患(HDFN)及び温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、2021年12月に全身型重症筋無力症(gMG)、2024年3月に胎児・新生児同種免疫性血小板減少症(FNAIT)、2025年3月にシェーグレン症候群(SjD)に対するFast Track指定をFDAより受けました。
• 2019年12月にwAIHA、2020年6月にHDFN、2021年2月にgMG、2021年10月に慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、2023年12月にFNAITに対するオーファンドラッグ指定をFDAより受けました。
• 2024年2月にHDFN、2024年11月にシェーグレン症候群に対するブレークスルーセラピー指定をFDAより受けました。
• 2024年第4四半期に、FDAより、gMG治療薬として優先審査の対象に指定されました。
• 2019年10月にHDFNに対するオーファンドラッグ指定をEMAより受けました。
Johnson & Johnson について
J&Jは、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます。
日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について
J&J Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域―がん、免疫疾患、精神・神経疾患、心・肺疾患、及び眼疾患領域における学術及び情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。私たちは、今後も医療の未来を切り拓き、日本の患者さんに革新的な医薬品をお届けしていきます。
Johnson & Johnson Innovative Medicineに関する詳しい情報はinnovativemedicine.jnj.com/japan/をご覧ください。また、www.facebook.com/JanssenJapan/をフォローしてください。
将来に関する記述
このプレスリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、製品開発及びニポカリマブの潜在的なベネフィット及び治療影響に関するものです。お読みの際には、これらの将来の見通しのみに依拠しないよう、ご注意ください。これらの記述は、将来の事象に関する現時点での予測に基づいています。
基礎となる前提が不正確であると判明した場合、あるいは既知もしくは未知のリスクや不確実性が現実化した場合、実際の成果は、Janssen Research & Development, LLC、Janssen Biotech, Inc.及び/又はジョンソン・エンド・ジョンソンの予測や見通しと大きく異なる可能性があります。
リスクと不確実性には、これらに限定されるものではありません。臨床的成功及び規制当局の承認取得の不確実性をはじめとする製品の研究開発に伴う課題や不確実性、商業的成功の不確実性、製造上の問題または遅延、競合他社による特許取得、新製品開発、特許に対する異議申し立て、製品回収又は規制当局による措置につながる可能性、製品の有効性又は安全性に関する懸念、ヘルスケア製品及びサービスの購入者の行動や支出パターンの変化、世界的な医療改革などの適用される法律や規制の変更、医療費抑制への動きなどが含まれますが、これらに限定されるものではありません。
これらのリスクや不確実性、その他要因の詳細と一覧については、最新の会計年度のForm10-Kに基づくジョンソン・エンド・ジョンソンの年次報告書の「将来予測に関する記述に関する注意事項(Cautionary Note Regarding Forward-Looking Statements)」、や「リスク要因(Item 1A)」のセクション、またはジョンソン・エンド・ジョンソンの四半期報告書(From 10-Q)及び証券取引委員会へのその他の提出書類をご参照ください。
これら書類は、オンライン(www.sec.gov, www.jnj.com)でご覧いただくか、もしくはジョンソン・エンド・ジョンソン宛てにご請求ください。Janssen Research & Development, LLC、Janssen Biotech, Inc.及び/又はジョンソン・エンド・ジョンソン及びジョンソン・エンド・ジョンソンは、新たな情報や今後の事象・変化などに基づいて、将来予測に関する記述を更新する義務を負いません。
【本件に関するお問合せ先】
Johnson & Johnson Innovative Medicine
コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部
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